<JPEAインタビュー>第6次エネ基の目標達成に貢献する太陽光の最大限の普及拡大
2021/12/08
国のエネルギー政策・第6次エネルギー基本計画(案)の発表を受け、太陽光発電協会(JPEA)は、ポジションペーパー「第6次エネルギー基本計画の目標達成に貢献する太陽光発電の最大限の普及拡大に向けて」を公開した。その内容について、同協事務局長の山谷宗義氏が解説する。
※本記事は、10月半ばに取材を実施したSOLAR JOURNAL vol.39からの転載です。
2050年300GW超に向け
ポジションペーパーを公開
太陽光発電協会(JPEA)は、国のエネルギー政策・第6次エネルギー基本計画(案)の発表を受け、JPEAの基本的なスタンス、2050年に向けての課題と対策、JPEAの主要な取組み、エネルギー政策への要望を纏め、ポジションペーパー「第6次エネルギー基本計画の目標達成に貢献する太陽光発電の最大限の普及拡大に向けて」として公開しました。
2050年カーボンニュートラルに向けてのJPEAのスタンスは、「太陽光発電を取り巻く様々な課題(供給安定性・経済性・社会受容性等)を解決し、太陽光発電が“主力エネルギー”になることを目指す」
ということであり、具体的には、次の3点を踏まえて、2050年300GW超を目指します。①供給の拡大・安定性向上、②共生から共創へ、③経済性向上の3つです。
2050年300GW超を実現するための課題と対策は、①土地制約の解消、②系統制約の克服、③既存FITの持続的なエネルギー事業化、④社会受容性の向上と確立、⑤太陽光発電システムの一層のコストダウンおよび蓄電池のコストダウン・活用、⑥カーボンプライシングの検討具体化の6つ。
これらを踏まえ、JPEAは以下5つの取組みを軸に、2050年のマイルストーンとして2030年125GWを目指します。①地上置き太陽光発電の普及拡大、②自家消費型太陽光発電の普及拡大、③住宅用太陽光発電の普及拡大、④共生から共創へ地域社会とのエネルギー共創・レジリエンス強化に向けた取組みの強化、⑤太陽光発電システムの一層のコストダウンおよびストレージパリティに向けた取組みの強化。
併せて、国には次のことを要望します。①FIP調達価格政策の柔軟な運用、②荒廃農地の活用促進に向けた仕組み作り、③実効性の有るポジティブゾーニング制度の仕組み作り、④配電網の系統制約の克服、⑤オンサイト/オフサイトPPA の普及拡大、⑥住宅用太陽光発電の普及拡大に向けた政策支援の拡充、⑦低圧太陽光発電所のガイドラインの共同策定、⑧太陽光発電の大量導入を見据えた技術革新支援・導入促進支援の推進、⑨カーボンプライシングの検討具体化。以上の9つです。
ポジティブゾーニング、
社会受容性、住宅用が鍵
ご紹介してきた通りポジションペーパーの内容は多岐にわたりますが、私としては、中でも次の3つが目下の最重要課題だと考えています。
1つ目は、社会受容性の問題です。自然災害に対する設備の安全性向上、とくに既設の対策強化を急ぎ、地域社会の不安を解消していかなければなりません。そのためには安全対策等のガイドライン(PV版定期検査制度)を国と共同で策定することを考えています。また、レジリエンス強化における成功事例等を、JPEA会員各社を含めた関係者に展開し、地域社会との調和・連携を図っていくことも重要です。JPEAとしては、地域との共生をさらに進化させ、地域社会の一員として、地域に求められるエネルギーを地域と共に創っていくこと(共創)を目指していく考えです。
2つ目は、ボジティブゾーニングの問題です。改正温対法に基づく再エネ促進区域の地域主体の設定(ポジティブゾーニング)は、土地制約の解消に向けても、地域との共創においても、極めて重要な意味を持っています。
3つ目は、住宅用太陽光です。住宅には大きなポテンシャルがありますが、まだまだ活かしきれているとはいえません。とくに既設住宅への導入を促すスキームを検討していく必要があります。新築に関しても、大手ビルダーに比べて取り組みが遅れている中小工務店や建売事業者への支援体制は必要です。
JPEAは、今後も国への協力・提案を含めて、太陽光発電の普及拡大に努めてまいります。ポジションペーパーの詳細は、ホームページ(www.jpea.gr.jp)に公開しておりますので、ぜひご覧ください。
PROFILE
一般社団法人太陽光発電協会(JPEA) 事務局長
山谷宗義氏
1986年 京セラ株式会社に入社。多結晶シリコンの技術開発に約17年間従事。2003年 太陽光パネルに関する数値解析部門を立ち上げ、2016年 開発管理部門責任者に就任。2019年3月より幹事としてJPEA活動に参加。2021年6月より現職。
取材・文:廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.39(2021年秋号)より転載