米国最大! カリフォルニア大学のエネルギータウン
2016/01/08
「ネット・ゼロ・エネルギーコミュニティ」は、街のコミュニティ内の年間電力消費を省エネと創エネ効果の組み合わせによって事実上すべてを賄い、環境にやさしい暮らしを目指す取り組みだ。今回はカリフォルニア州の大規模な例を紹介する。
住宅だけでなく店舗、教育施設も参加!
カリフォルニア大学デイビス校(University of California, Davis)と大手不動産ディベロッパー(WestVillage Community Partnership LCC.)の提携のもと、現在、米国で最大規模の「ネット・ゼロ・エネルギコミュニティ」の実証事業が行われている。
デイビス校は、米国で最大規模の州立大学群であるカリフォルニア大学 (UniversityofCalifornia) に属する10校のうちの1つである。同校はカリフォルニア州の州都サクラメント市から約25㎞西部にあるキャンパスに、総学生数3万4000人以上の生徒を抱える。
そんなデイビス校に隣接して建設されるこのコミュニティは「ウエストビレッジ」と呼ばれ、住宅だけではなく、公園、プールなどの公共の施設、オフィス、商店、さらに短期大学なども含めた「タウン」なのだ。
このコミュニティの計画は2000年に始まり、2009年の夏に建設が開始された。2011年には315軒のアパートが完成し、学生、大学関係者が入居できる環境が整えられた。翌年2012年1月には、サクラメントシティカレッジ、「デイビスセンター」と呼ばれる市営短期大学もウエストビレッジ内で開校し、現在2400名の生徒が通っている。
ウエストビレッジの商業エリアには、コピーセンター、バイクショップ、カフェ、レストラン、さらに、民間企業の研究所・オフィススペースもある。現在、コミュニティ内では拡大建設が行われているのだが、これが全て完成すると205エーカー(約83ha)の土地に662戸のアパートと343戸の一戸建てが建つことになり、約3000人以上の生徒と教授・大学関係者が住めるようになる。
大型太陽光発電システムでクリーンな電力を供給
ウエストビレッジ内のアパートやコミュニティセンターなど、計6つの建物には太陽光発電システムが導入されており、それによって電力供給を行っている。このシステムは、高変換効率の太陽光パネル製造・供給で知られる世界的企業サンパワー社が開発・設置した。
タウン内では、年間580万kWhの電力が太陽光発電によって賄われている。昨年のデータによると、コミュニティ全体の電力消費量は700万kWh。つまり、全体の電力消費量の82%が太陽光発電によるものであることを意味する。将来的に100%にするには、さらに太陽光発電の設置を増やすこと、または電力消費の削減が必要となる。