【地域共生成功モデル紹介】地域貢献型システム&脱炭素住宅都市モデル
2024/06/18
太陽光発電協会(JPEA)は、太陽光発電の普及拡大に資する取組・事業とそれを支えている方々を表彰する「ソーラーウィーク大賞」を創設。大賞1事業者・優秀賞3事業者・特別賞5事業者を発表した。いずれも全国に横展開したい、地域共生の成功モデルだ。
メイン画像:リユースPV設置ワークショップの様子(上段左、上段中、下段)リユースEVを活用したイルミネーションイベントの様子(上段右) 出典:能勢・豊能まちづくり
★★★優秀賞
里山地域の地域課題解を目指した
地域貢献型の太陽光発電システムの導入
大阪府能勢町
代表事業者:株式会社 能勢・豊能まちづくり 共同事業者:大阪府立豊中高等学校 能勢分校、能勢町
地域新電力である株式会社 能勢・豊能まちづくりが能勢町と共同で取り組む、地域課題解決に向けた太陽光プロジェクト。具体的には次の3つの事業から成る。
能勢分校では、通学手段の確保が困難で、多くの生徒が親の送迎に依存している状況。その課題解決策のひとつとして、電動バイクを活用した通学支援プロジェクトを実施。電動バイクの充電用電源として、町内に眠っていた中古太陽光パネル使った発電を行っている。
能勢町庁舎にオンサイトPPAスキームを活用して太陽光発電設備と蓄電池を導入。同役場は災害時の避難所として指定されており、災害時には非常用電源として役立てられる。
❸「再生可能エネルギーゾーニング事業」。
地域住民からの再エネに対する懸念の声を踏まえ、地域と共生する再エネ事業の普及を目指してゾーニング調査を実施。地域貢献型再エネの普及を下支えしている。
出典:能勢・豊能まちづくり
★★★優秀賞
“自治体新電力×コミュニティの力”で
新たな脱炭素住宅都市モデルの実現
奈良県生駒市
代表事業者:生駒市 共同事業者:いこま市民パワー株式会社、奈良先端科学技術大学院大学、TJグループホールディングス株式会社、一般社団法人市民エネルギー生駒
エネルギーの地産地消の促進と、複合型コミュニティづくりを相乗的に組み合わせ、地域の脱炭素化と活性化の実現に取り組んでいる。生駒市が51%を出資する自治体新電力 いこま市民パワー株式会社の電力事業を通して展開。太陽光発電設備の施工・管理は、PPAスキームを使って、いこま市民パワー等出資による特別目的会社(SPC)が実施する。
同市ひかりが丘・萩の台の住宅地を対象地域とし、公共施設や集会所、各家庭等に太陽光発電や蓄電池を最大限設置していく。新しく確保する太陽光発電は、いこま市民パワーの電源として利用。各家庭に、いこま市民パワーへの切り替えを促し、電気の地産地消実現を目指す。
同時に、世代を超えて集うことのできる交流拠点づくりを促進。そこをクールスポット/ホットスポットとして機能させ、各家庭の消費エネルギー削減につなげていくとともに、太陽光・蓄電池・省エネに関する情報発信拠点として、脱炭素ライフスタイルへの行動変容を図っていく。
自治体新電力「いこま市民パワー」等が
設立する特別目的会社(SPC)がPPA事業を展開
SPCの設立は、再生可能エネルギー発電事業における資金調達手法として行われている手法。別会社としてSPCを設立することで、事業目的とする再生可能エネルギー事業の収益のみを返済原資として資金調達をすることが可能となる。
市民が集まるコミュニティづくりが
地域の地域の脱炭素化に貢献
取材・文:廣町公則
協力:太陽光発電協会
SOLAR JOURNAL vol.48(2024年冬号)より転載