【太陽光発電の規制強化】メガソーラー対策・FIT/FIP終了・リサイクル義務化の最新動向
2026/03/23
迫りくる3大衝撃! 政策転換が突きつける、太陽光発電ビジネスの再構築ー。メガソーラー対策から始まった支援廃止の流れが、いま地上設置太陽光全般を飲み込もうとしている。
1.メガソーラー対策パッケージ 関係法令をすべて見直し、規制を強化!
1.1省庁横断で進む事業規律の再構築
1.2環境・安全性・景観に関する法的規制を強化
1.3地域の取り組みとの連携を強化
1.4地上設置への支援を廃止し地域共生型への支援を強化
2.地上設置のFIT/FIP終了 2027年度以降、新規認定は原則なし!
2.1メガソーラーだけでなくすべての地上設置が対象外に
2.2地域共生型への重点支援 その中身は先送り
2.3「卒業後」をどう描くか 問われる事業モデルの転換
3.リサイクル義務化へ再始動 発電事業者がリサイクルの主体に!
3.1昨年の“見送り”を受けて発電事業者にリサイクル義務
3.2“多量”排出者から段階的に規制を強化
3.3排出実施計画の提出を求め着実な実行を義務づける
メガソーラー対策パッケージ
関係法令をすべて見直し、規制を強化!
メガソーラー批判の動きは、昨年末、「メガソーラー対策パッケージ」に結実した。「不適切事案に対する法的規制の強化」「地域の取り組みとの連携強化」「地域共生型への支援の重点化」という3本柱からなるパッケージの中身を見る。
法的規制の強化内容と実施予定時期
「太陽光発電は、導入が急速に拡大した一方で、様々な懸念が発生。地域との共生が図られた望ましい事業は促進するとともに、不適切な事業に対しては厳格に対応する必要がある」として、関係法令の全般的な見直しを図る。2026年度中に実施される新たな規制も少なくない。

出典:経済産業省
省庁横断で進む事業規律の再構築
政府は2025年12月23日、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を閣議決定した。総務省と経済産業省を中心に、環境省、農林水産省、国土交通省、文部科学省などが参画する省庁連携型の対策パッケージだ。
再生可能エネルギー政策の枠内にとどまらず、自然環境保全、防災、安全規制、景観形成、文化財保護、地方自治体行政といった多様な政策領域を横断的に整理。法的な規制措置を実施するとともに、国と自治体とのさらなる連携を図っていく。加えて、国の支援のあり方についても見直し、速やかに施策の実行を進めるとする。
パッケージは、①不適切事案に対する法的規制の強化、②地域の取り組みとの連携強化、③地域共生型への支援の重点化、この3つの柱から構成されている。
環境・安全性・景観に関する法的規制を強化
まず、「自然環境の保護」に向けて、環境影響評価の対象となる太陽光発電事業の規模を見直し、事業者に一層の環境配慮を促す。加えて、環境影響評価に関する審査の厳格化や指導の徹底など、実効性を強化する。
希少な動植物の保全についても対策を徹底する。生息地等保護区の設定を推進するとともに、希少種保全に影響を与えかねない開発行為について、事業者等に対応を求める際の実効性を担保するための措置をとる。また、天然記念物に悪影響を与える開発を適切に規制するため、自治体が事業者に助言を行う際の留意点を整理し、周知を図る。
釧路湿原に関しては、自然公園法に基づいて公園区域を拡張し、区域内の開発を適切に規制する。
「安全性の確保」についても、厳格化を図る。改正森林法に基づいて、許可条件違反に対する罰則を検討し、命令に従わない者を公表するなど規律を強化。電気事業法における保安規制も見直し、安全性を向上させる観点から、10kW以上のすべての太陽光発電設備について、土木建築の専門性を有する第三者機関が、工事前に構造に関する技術基準への適合性を確認する仕組みを設ける。
また、サイバーセキュリティ対策を向上させるため、設備を送配電網に接続する際の技術的要件を改正し、サイバーセキュリティ基準への適合証明を取得した機器の利用を要件化する。
「景観の保護」に関しては、市町村が景観計画を策定し、事業者に対し基準に適合しない設置行為を適切に制限できるよう、景観法運用指針を改正する。
このほか、土地利用規制区域の適切な設定も重要課題と位置付ける。事業者が実施場所を検討する際に十分考慮できるよう整備を進めるとともに、地球温暖化対策推進法に基づく再エネ導入促進区域の設定について自治体を支援する。
なお、関係法令に違反したFIT/FIP認定事業については、速やかに交付金の一時停止措置を講じるなど、必要な執行体制の強化を図っていく。 太陽光パネルの廃棄・リサイクルについては、実効的な制度整備を進めるとともに、リサイクル費用低減に向けた技術開発や、リサイクル設備導入への支援を行う。
地域の取り組みとの連携を強化
太陽光発電事業への適切な法的規制の実行にあたって、国と地方自治体との緊密な連携を図るため、地方三団体を交えた新たな連携枠組みを構築し、「再エネ地域共生連絡会議」を設置する。関係法令の総点検結果や対応方針、条例等を整理するとともに、事業を開始した事案に対する実効的な取り組み例、自治体における先進的な取り組み例などを紹介。必要な情報の共有を図る。
加えて、「全省庁横断再エネ事業監視体制」を構築する。「関係法令違反通報システム」における通報や「再エネGメン」の調査について、非FIT/非FIP事業も対象に追加し、我が国の太陽光発電全体において、各関係法令が確実に遵守される体制を確立する。
地上設置への支援を廃止し地域共生型への支援を強化
技術の進展によるコスト低減の状況や、課題・特性を踏まえ、事業用太陽光(地上設置)については、FIT/FIP制度による支援の廃止を検討する。
一方で、屋根設置をはじめとした地域共生型の太陽光発電の導入形態(公共施設、公共インフラ空間等)については、支援を重点化することを検討する。
工場等の非化石エネルギーへの転換にあたり、省エネ・非化石転換法に基づく定期報告の内容に、屋根への太陽光発電設備の設置状況および設置余地等を追加することで導入を促す。
営農型太陽光発電については、農業との両立が図られる望ましい取り組みを明確化するとともに、地域活性化に資する形で推進する。あわせて、農業との両立が図られない不適切な取り組みに対しては厳格に対応する。
ペロブスカイト太陽電池については、研究開発・実証への支援を強化し、早期の社会実装を促す。需要家向けには、事前調査や導入計画の策定を新たに支援。地方公共団体が国庫補助を活用して公共施設等に導入する事業に関しては、地方財政措置を講じる。
地上設置のFIT/FIP終了
2027年度以降、新規認定は原則なし!
FIT調達価格/FIP基準価格の推移

出典:経済産業省の資料を基に編集部にて作成
メガソーラーだけでなくすべての地上設置が対象外に
昨年末に閣議決定した「メガソーラー対策パッケージ」を受けて、1月に開かれた経済産業省の審議会において、太陽光発電に関するFIT/FIP制度の適用方針が示された。メガソーラー対策パッケージで示唆されていた「支援の廃止」について、より具体的に打ち出された格好だ。
その内容は、「事業用太陽光発電( 地上設置)については、2027年度以降、FIT/FIP制度における支援の対象外とする」というもの。メガソーラーという言葉が先行していたが、実際は低圧を含むすべての地上設置型事業用太陽光が、原則としてFIT/FIP制度の対象から外される。この方針どおりに決定されれば、FIT制度だけでなく、FIP制度からも除外されるということだ。従って、入札も2026年度が最後となる。
審議会では、FIT開始以降の導入拡大とコスト低減、入札で上限価格を下回る落札が続いていること、さらにPPAの拡大により「FIT/FIP制度に依らない案件形成も見られる」ことが、支援終了の論拠として挙げられた。また、自然環境・安全・景観など「地域共生上の課題」が顕在化し、「負の外部経済性」が指摘されている状況も判断材料に組み込まれている。
重要なのは、ここでいう「支援対象外」が、地上設置の事業用太陽光発電“全体”にかかっているということだ。それは、世間で語られがちな「メガソーラー潰し」という単純な話ではなく、太陽光発電に関わるすべての事業者に影響を及ぼす抜本的な制度転換なのである。
なお、2027年度以降、新規の地上設置型事業用太陽光が支援対象から外されても、既にFIT認定を受けている太陽光をFIP認定設備に転換することは、引き続き認められる。
地域共生型への重点支援 その中身は先送り
一方で、「地域共生が図られた形で導入される太陽光発電への支援の重点化」を進めることも明言された。ただし、今のところ、その中身は定まっていない。
何をもって地域共生型とみなすのか。どのような支援を行っていくのか(それはFIT/FIP制度の延長か、あるいは補助金など別スキームによるものなのか)。それらの懸案は、すべて「2026年度の審議会で検討する」と先送りされている。
地域共生型に厚く支援するという方向性は確認されたが、制度設計は手付かずというのが現状だ。対象としては、「地域での活用・防災(停電時利用)に役立つ案件」「地域還元(地域ファンド、共同所有、利益還元)を組み込んだ案件」などが考えられているが、そもそも、そこに地上設置が含まれているのかも定かではない。現時点で、地上設置において地域共生の例として検討されているのは、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)だけだ。
「卒業後」をどう描くか 問われる事業モデルの転換
審議会の空気感は、「FIT/FIPは本来“自立化”を目指す時限的な制度であり、地上設置の事業用太陽光は卒業段階にきた」というものだった。
しかし、支援の廃止を、地上設置型太陽光発電の導入停滞につなげてはならない。地域共生型支援の具体化を急ぐと同時に、オフサイトPPAなど需要家と連携した取り組みを後押ししていく必要もある。
FIT/FIP後の時代を見据え、地上設置型太陽光がどのような形で社会に受け入れられていくのか。今後の制度設計と事業者の対応が問われている。
リサイクル義務化へ再始動
発電事業者がリサイクルの主体に!

昨年の“見送り”を受けて発電事業者にリサイクル義務
使用済み太陽光パネルのリサイクルを巡っては、昨年、製造業者・輸入業者に費用負担を求める「太陽光パネルリサイクル法案」がまとめられた。しかし、最終的な政府内の検討において、自動車や家電など所有者が費用を負担している他の制度との整合が取れないとして、国会への法案提出は見送られた。
こうした経緯を踏まえ、1月23日、経済産業省と環境省が共同で審議会を開催。リサイクルの義務を負う主体を、製造業者側ではなく、パネルを所有する発電事業者側とした新たな制度案を公表した。
“多量”排出者から段階的に規制を強化
新制度案には、「リサイクルの規制を段階的に強化し、太陽光パネルの幅広い排出者等へのリサイクルを義務化するために必要な環境を整備する」とある。ここで重要なのは、対象を「排出者等」とし、規制を「段階的に強化」するとしている点だ。
排出者等とは、「太陽光発電設備の解体・撤去・廃棄を自ら行う者、または解体業者等に発注する者」と定義されており、実質的に発電事業者のことを指している。
規制の段階的な強化とは、排出者等を設備規模などで分類し、「まずは“多量”の“事業用”太陽光パネル排出者にリサイクルを義務づけ→徐々にその対象を拡げていき→将来的にはすべての太陽光パネル排出者等に義務を課す」ということだ。第一段階となる多量排出者の規模は、現時点では未定だが、主にメガソーラー事業者を想定したものと思われる。
排出実施計画の提出を求め着実な実行を義務づける
新制度案において多量排出者は、パネルを排出する前に、処分方法やリサイクルの内容を定めた「排出実施計画」を作成し、国に届け出なければならない。国はこれを審査し、一定の判断基準に照らして、取り組みが不十分と判断される場合には、勧告や命令を出す。排出者は、計画に従ったリサイクルを進めていく義務を負うことになる。
同時に、リサイクルを総合的かつ計画的に推進するためには、「製造業者、リサイクル事業者、国、地方公共団体などの関係者が相互に連系し、リサイクルが選択される環境をつくることが重要である」として、各主体の役割が示された。(下記「基本方針」参照)

出典:経済産業省
取材・文:廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.56(2026年冬号)より転載










