政策・制度

ペロブスカイトの現状 社会実装のその先は?|電力支援廃止後に注力すべき3つの成長分野③

2027年度以降、太陽光業界が大きな転換期を迎えるなか、どの分野に注力していくべきなのか。本記事では「ペロブスカイト太陽電池」を解説。ペロブスカイト太陽電池の社会実装は日本のエネルギーにどのような影響を与えるのだろうか。

 

<目次>
1.屋根設置の太陽光に 支援を重点化
2.省エネ法の改正で 1万2000社が動く
3.ペロブスカイト太陽電池 社会実装フェーズに
【全3回特集】FIT/FIP制度への今後のアプローチについて3回に分けて解説します。
 
第1回:2027年以降の電力ビジネスに必要な「FIP転+蓄電池」という考え方
第2回:燃料高騰に立ち向かうコーポレートPPA その種類と特徴を徹底解説
第3回:ペロブスカイトの現状 社会実装のその先は? 

 

屋根設置の太陽光に
支援を重点化

 


※出典:内閣官房 日本成長戦略会議

2027年度以降、地上設置型の事業用太陽光発電への政策的後押しは大きく後退する。一方で、屋根設置型の太陽光については、導入を加速させる方針が明らかだ。第7次エネルギー基本計画にも、屋根や壁面の活用を積極的に進めることが明記されるなど、屋根設置を前提とした太陽光導入方針が国家レベルで示されている。

この方針を具現化するために、さまざまな施策が打ち出されているが、太陽光発電業界としていま注目すべきは、「省エネ法の改正」と「ペロブスカイト太陽電池」だ。

省エネ法の改正により企業の太陽光導入機運はいっそう高まり、ペロブスカイト太陽電池により設置可能場所が大きく拡がっていく。

 

省エネ法の改正で
1万2000社が動く

 
省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)の改正により、2026年度から「特定事業者」に対して、建物屋根への太陽光発電設備の設置目標を策定することが義務づけられることとなった。今後は、同法に基づく中長期計画書において、「屋根設置太陽光発電設備の設置に関する定性的な目標」の提出が求められる。

ここでいう特定事業者とは「会社全体の年間エネルギー使用量が、原油換算で1500kl以上」の事業者のことで、対象となる企業は約1万2000社に及ぶ。

屋根設置太陽光は、設置を前提に、具体的な「中長期計画」を策定し、その実績を毎年「定期報告」しなければならないこととなった。しかも、これに対応すべき需要家企業は約1万2000社に及ぶ。

太陽光発電設備の導入を提案する事業者にとって、この改正が大きなチャンスであることは間違いない。アプローチすべきターゲットとなる特定事業者は、資源エネルギー庁のWEBサイトにある「エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づく特定事業者等指定状況」で知ることができる。

 

ペロブスカイト太陽電池
社会実装フェーズに

 
今後、社会実装フェーズに入るペロブスカイト太陽電池は、従来型の太陽光パネルでは設置が困難な耐荷重の低い屋根や壁面への導入も可能だ。また、ペロブスカイトの主原料である「ヨウ素」は日本が世界シェアの約3割(世界第2位)を占めており、原材料を含む強靭なサプライチェーンの構築を通じ、エネルギーの安定供給に貢献する。原材料や技術を特定の国に依存しないことから、経済安全保障・エネルギー安全保障の観点からも期待されている。

内閣官房が主導する「日本成長戦略会議」においても、ペロブスカイトは日本の成長を支える主要な製品・技術の1つに位置づけられている。2026年3月10日に開催された第3回会議で官民投資ロードマップの素案が示され、「2030年を待たずにGW級の量産体制を構築すること」「2040年までに国内約20GWの導入」「海外展開についても、国内需要以上の導入を野心的に目指していくこと」が確認された。

政策パッケージとしては、GI基金による研究開発支援、事業者による量産のための設備投資支援、需要家に向けての導入支援を実施。さらに2026年度より3年間、GI基金の採択事業者の生産品に対する固定資産税の課税特例を重点化。地方公共団体が国庫補助を活用して公共施設等にペロブスカイト太陽電池を導入する事業について地方財政措置を実施する。また、民間投資の予見性を確保する初期需要の創出に向け、「公共施設・インフラ空間等(空港、道路等)への率先導入による需要喚起」を図っていく。

制度が後押しし、技術が追いつき、需要が高まる3つの条件がそろった屋根設置は、今後の太陽光発電市場において、最も確実性の高い成長分野といえるだろう。

【全3回特集】FIT/FIP制度への今後のアプローチについて3回に分けて解説します。
 
第1回:2027年以降の電力ビジネスに必要な「FIP転+蓄電池」という考え方
第2回:燃料高騰に立ち向かうコーポレートPPA その種類と特徴を徹底解説
第3回:ペロブスカイトの現状 社会実装のその先は? 

 

DATA

取材・文/廣町公則

【SOLAR JOURNAL vol.57】より転載



【リアル・オンライン参加者募集中!】
8月28日(金)開催「第39回PVビジネスセミナー」

エネルギー基本計画の改訂に伴い、2030年度の再エネ比率目標は「36~38%」へと引き上げられた 。FITからFIPへの移行やPPAモデルの台頭など、激変する市場環境下で成長を続けるための最新戦略を、業界のトップランナー企業と専門家が徹底解説する。

 


アクセスランキング

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.57 / ¥0
2026年5月29日発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳