太陽光イベント

【セミナーレポート】系統用蓄電池、自家消費に脚光! SUNGROWが長期脱炭素に向けてセミナー開催

世界の太陽光発電市場を牽引するパワーコンディショナ最大手、SUNGROW(サングロウジャパン)が「長期脱炭素に向けて」と題するセミナーを開催。社外の有識者も招いて市場環境の分析を行うとともに、それぞれの課題に対応する各種ソリューションを紹介した。

パワコン最大手のSUNGROW
蓄電池でも中国企業トップ

SUNGROW(サングロウジャパン)は2023年11月20日(月)、ヒルトン東京お台場において、EPC、パネルメーカー、電力会社、アグリゲーターなど太陽光発電関連事業者およそ160名を招いてセミナーを開催した。系統用蓄電池や最新の自家消費ソリューションなどの発表もあり、参加者の熱い関心を集めた。

冒頭、挨拶に立ったサングロウジャパン APAC総経理の許 月志氏は、パワーコンディショナ(PCS)に加えて蓄電池に大きな力を注いでいる同社の現状を紹介。収益面はもちろん安全面にも万全を期した製品で、多様化する蓄電池ニーズに応えていきたいと語る。

SungrowJapan株式会社 
APAC総経理

許 月志 氏

続いて、営業部の藤原孝紀氏が会社紹介を行った。

サングロウジャパンは1997年に中国本社を設立以来、四半世紀以上にわたって着実な成長を遂げ続けている。2015年にはパワーコンディショナ出荷量世界No.1を記録し、現在までにアメリカ、ヨーロッパ、中東、中国、アジア太平洋各国に合計約405GWを設置した。蓄電システムについても早くから事業化を進めており、2022年時点で7年連続中国企業トップの出荷量を誇っている。

日本には2014年に子会社(サングロウジャパン)を設立し、日本の市場環境に最適化した
製品の提供に努めている。パワーコンディショナはもとより、近年は蓄電システムの引き合いも多く、ラインナップの拡充を図っているという。

SungrowJapan株式会社 
営業部

藤原 孝紀 氏

系統用蓄電池PowerTitanと
次世代の特高向け製品

具体的なソリューションに関しては、まず、技術部の加藤俊太郎氏が「系統用蓄電池PowerTitanと次世代の特高向け製品」について発表。必要機器を一括で供給できるサングロウジャパンならではの強みをアピールした。

SungrowJapan株式会社 
技術部 技術サポートエンジニア

加藤 俊太郎 氏

PowerTitanは、水冷式蓄電システム「ST2293UX~ST2752UX」とRMU内蔵特高トランス一体型PCS「SC5000UD-MV」などからなる。

水冷式蓄電システム「ST2293UX~ST2752UX」は、蓄電容量2.7MWhで、 1.4MW充放電(最大0.5C)の高出力。水冷システムの採用により、消費電力量の大幅削減を可能にしている。また、独自の組み込み型設計と高集積設計により、現場での組み立て時間・コストを低減するとともに、設置面積の省スペース化を実現。安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、消火装置も複数搭載するなど、安全性にも十分な配慮がなされている。各種蓄電容量を選定でき、多様な並列設置に対応するなど、システム設計の柔軟性にも優れている。

SC5000UD-MVは、PCS2台と特高トランスの一体型で、RMU(リングメインユニット=遮断器・開閉器)も内蔵。最大5MWの高出力で、3レベル変換技術により最大変換効率99%を実現する。

工場の自家消費に最適な
高発電量を誇る三相パワコン

次に、アフターサービス部の野口雄太氏が「高圧市場および自家消費向けソリューション」をテーマに、工場等の自家消費に最適な各種三相PCS(SG49.5CX、SG100CX、SG125HX)を紹介。あわせて、自家消費案件に活用できる補助金についても整理した。

SungrowJapan株式会社 
アフターサービス部 部長

野口 雄太 氏

野口氏は、サングロウジャパンのPCSに共通する特長として、「高い発電性能」「耐環境性」「設置し易さ」を強調する。高い発電性能は、MPPT回路の多さに立脚しており、SG49.5CXは6MPPT回路、SG49.5CXとSG125HXは12MPPT回路を有する。また、放熱性能の高い強制空冷により、高温環境下でも発電性能の低下がほとんどないという。耐環境性については、防水防塵IP66および塩害保護C5に対応しており、標準品でも高温・高湿・塩害地域に設置できる。端子接続方法の簡素化などにより、設置の容易さも飛躍的に向上しているという。

2024年春には、「騒音低減」「点検端子台」「AFCI機能」「PID修復」「オプティマイザ」に特長をもつ新たな高圧向けPCSも発売予定とのこと。今後への期待が膨らむ発表となった。

300%過積載、低圧向けパワコン
遠隔監視システムも充実

低圧市場に向けては、営業部の高松裕介氏が「低圧ソリューションおよび交流集電箱の紹介」と題してスピーチ。低圧向け5.5kW単相パワーコンディショナ「SG5.5RS」、および低圧向け通信機能付き交流集電箱「SAC-9/1」、遠隔監視システム「iSolarCloud」の紹介を行った。

SungrowJapan株式会社 
営業部 営業担当

高松 裕介 氏

低圧向け5.5kwパワコンは、300%のスーパー過積載が可能。大電流の高出力パネルにも対応し、より大きな発電量を得ることができる。MPPT電圧範囲は50~550Vと広く、起動電圧は60Vと低い。そのため、日射量が少ない朝晩も運転可能となっている。IP65防水防塵保護、C5防食塗装により、悪天候・悪環境下での長期運転にも支障がない。

低圧向け交流集電箱「SAC-9/1」には4G通信機能が内蔵されており、遠隔監視システム「iSolarCloud」とスムーズに連携する。iSolarCloudは、リアルタイム監視やアラート発報、データ分析などの機能に加え、複数発電所の一括管理が可能であり、O&Mにおけるトラブルシューティングや発電事業主の売電収入管理に貢献する。スマホアプリで各PCSの設定が可能であり、遠隔出力抑制の設定もできる。日々の操作とメンテナンスを、より簡単にし、発電所の収益性を高めるものになることは間違いなさそうだ。

会場であるヒルトン東京お台場のエントランスには、サングロウジャパンの各種製品も展示。セミナーの休憩中には、営業担当の説明に熱心に耳を傾けていた。

左上/セミナー当日は、サングロウジャパンの取引先やパートナー企業など多くの来場者が足を運んだ。右上/会場入口には今回のセミナー開催を記念した特設フォトブースも展開。左下/同社パワコンの機能説明を真剣に聞く来場者の姿も多数見受けられた。右下/セミナーの司会を担当した、サングロウジャパン・マーケティング担当の胡氏。

電力市場の明日を読み
取引先企業の取り組みを聞く

社外からは、初めに、エネルギーサービス・プロバイダーとして日本の電力市場を見続けてきたエナジープールジャパン代表取締役社長兼CEOの市村健氏が登壇。脱炭素電源オークションと未来の電力市場についてレクチャーした。

エナジープールジャパン株式会社 
代表取締役社長 兼 CEO

市村 健 氏

また、再生可能エネルギー開発事業者の立場からミライト・ワンが登場。再生可能エネルギー開発部の鐵善吉氏が、企業ユーザーの脱炭素ニーズに応える同社の取り組みと、サングロウジャパン製品の施工実績を詳らかにした。

株式会社ミライト・ワン
ソリューションカンパニー
環境社会事業部 環境社会営業本部 再生可能エネルギー事業開発部

鐵 善幸 氏

最後に、NECネッツエスアイエナジーソリューション事業部の奥山実奈氏が、持続可能な社会とSDGsへの貢献について発表。「創電から創・蓄・省のエネルギー最適化へ」と移行したエネルギー事業、「守りの気候変動対策から攻めの気候変動経営戦略へ」と変わった同社のGXを軸に、全社を通じてカーボンニュートラルに取り組んでいく姿勢を強調した。

NECネッツエスアイ株式会社
エナジーソリューション事業部 主任 

奧山 実奈 氏

セミナー終了後には、ネットワーキングパーティーを開催。和やかな雰囲気のなか多くのセミナー参加者がそのまま懇親会にも参加。飲食を楽しみながら、登壇者のもとへ質問や相談をする人たちが列を成した。参加者同士で名刺交換をするシーンも数多く見られ、情報交換やビジネスマッチングの場としても貴重な機会となっていたようだ。

左/サングロウジャパン社長・徐 菡氏の乾杯の挨拶で懇親会がスタート。中/懇親会時は、サングロウ社員とのコミュニケーションはもちろん、来場者同士で名刺交換し親睦を深めている姿も多数見受けられた。右/懇親会の締めくくりとしてサングロウジャパン取締役の高 雨 氏の挨拶で大盛況のもと懇親会の幕が閉じた。

大盛況に終わったサングロウジャパンのセミナー&懇親会。太陽光業界の最先端を走る充実したテーマ講演から、グローバル市場を牽引するサングロウの製品紹介など、充実したセミナー内容に多くの来場者も大満足の表情で会場をあとにした。2024年、日本創立10周年を迎えるサングロウジャパン。今後も同社のアクションに目が離せない。

問い合わせ

サングロウジャパン株式会社


撮影/都築大輔
取材・文/廣町公則

Sponsored by SungrowJapan株式会社

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