欧州の洋上風力発電2017 入札価格下がり市場拡大
2017/09/01
世界の再生可能エネルギーを、太陽光とともに牽引する風力発電。洋上風力発電の普及が、急速に進んでいるのだ。風力大航海時代の始まりである。今回は、洋上風力の大規模化について日本風力エネルギー学会(JWEA)会長・石原孟氏(東京大学教授)に伺った。
欧州・洋上風力は
大規模化へ
土地の制約がない洋上には、大規模なウィンドファーム(複数の風車からなる風力発電所)の建設が可能である。現在、世界最大のウィンドファームは、イギリスの洋上風力発電所「London Array」で、3.6MWの風車175基からなる。その設備容量は、合計で630 MW (0.63GW)。一般的な原発1基がおよそ1GWであることを考えると、そのスケール感が伺えよう。
そして留意すべきは、この発電所が突出して大きいのではなく、最近のヨーロッパのウィンドファームは600MWクラスが主流であるという点だ。昨年7月に入札にかけられたオランダの洋上ウィンドファームに至っては、700MW規模だというから驚かされる。
欧州における洋上風力発電導入量
洋上風力発電の導入がイギリス等を中心に拡大し、2016年までに累計1440万kW
価格競争力のある
電源として
ウィンドファームが大規模化する要因としては、再生可能エネルギーに対するニーズの高まりとともに、コスト面での要請も大きい。ヨーロッパの大規模風力発電は入札が主流であり、コスト効率に優れた発電所しか建設ができない。そして採算性を上げるためには、規模を大きくした方が有利だからだ。
結果として、風力の入札価格は下がり続けており、前述のオランダのウィンドファームは72.7ユーロ/MWh(8.1円/kWh)で落札されている。さらに昨年11月には、スウェーデンの発電事業者が、バルト海上に建設する洋上風力発電所を49.9ユーロ/MWh(5.7円/kWh)で落札した。
いまや洋上風力発電は、他の電源と比較しても充分に安い、価格競争力のある電源となっているのである。
風力大航海時代
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取材・文/廣町公則
『SOLAR JOURNAL』vol.22より転載