市民出資で設置!「厚田市民風力発電所」導入事例
2017/10/17
太陽光発電とは違い、発電するための場所や気候などの条件がある風力発電は、まだ日本ではあまり馴染みがあるとは言い難い。そんな中、地域住民が出資を行って風車を建設する取り組みが少しずつ増えている。今回はその導入事例を紹介する。
市民が参加する風車づくり
欧州では風車を建設する際、地域住民が自ら出資して地域の利益に結びつけているケースが珍しくない。しかし日本では、地域の人々が主体になったり、一般市民が参加する仕組みを築く事例はまだ少ない。
そんな中、日本で市民参加型の風車づくりを手がけてきた草分け的なグループがある。NPO法人「北海道グリーンファンド」と、株式会社「市民風力発電」による市民風車事業だ。
両者は、風況が豊かな北海道と東北を中心に、地域のニーズを受けて風車を建設してきた。NPOが窓口となり、株式会社が地元主体の事業をサポートするというスタイルで、2001年に初の市民風車を北海道浜頓別町に建設。現在は企業などが計画したものをサポートして手がけた風車も含めて21基(合計出力約3万6500kW)に増えた。
多くのケースで、全国から小口で建設資金の一部を集める市民出資を募集しているのが特徴だ。これまでに集まった出資額は、のべ4000人以上の一般市民からおよそ25億円近くにものぼる。
さらに、2016年に北海道石狩市に設置した風車の収益の一部は、市の環境基金に寄付され、植林に活用されるなど地域に役立てている。北海道グリーンファンド事務局次長の小林ユミさんは「風は地域の資源ですから、それを活かして地域活性化に役立ててもらうお手伝いができればいいですね」と語った。
市民出資を受けて設置された
「厚田市民風力発電所」
[事業主体] 株式会社厚田市民風力発電
[所在地] 北海道石狩市 [運転開始] 2014年12月
[発電容量] 2,000kW×2基 [総事業費] 15億円
取材・文/高橋真樹
『SOLAR JOURNAL』vol.22より転載