O&Mオペレーション分野が活発化? 未来への鍵④
2016/05/04
太陽光発電に不可欠なO&M(運用・保守管理)ビジネスが多様化する中、オペレーション分野の動きが活発になっている。第2回目はサービスの新傾向を探る。
オペレーションの新傾向
出力制御技術の実用化へ
O&Mサービスは、メンテナンス分野のみが先行し、オペレーション分野は商品化や新サービスがユーザーに理解されにくいとの指摘がある。オペレーションサービスとは発電所の運用手法の改善により稼働済みの発電所の発電量を伸ばすことなど、商品というよりもコンサルティングに近いところがある。ただ、オペレーションをブラッシュアップしていくことは発電所運営においてメンテナンスと両輪をなす、重要な事案だ。
そんなオペレーション分野だが、近年になり、にわかにサービス化の動きが活発になっている。その最大の要因は、電力会社の系統接続保留問題により、今後太陽光発電設備で出力制御を実施する必要性が出てきたことだ。太陽光発電設備の出力制御とは、電力会社の系統運用に異常が生じるときには太陽光発電の電気を系統内に受け入れない措置のこと。
今年1月のルール改正によって出力制御の対象範囲が拡大されたため、これから出力制御の機会が増大していく見通しだ。
米国大手太陽電池モジュールメーカーのファーストソーラーは、メガソーラーの出力制御オペレーションに確固たる技術・知見・実績をもっている。同社は化合物薄膜系太陽電池モジュールの製造・販売にとどまらず、世界各地で太陽光発電所を開発・運用している。
同社日本法人・ファーストソーラー・ジャパン合同会社の笠松純・日本事業責任者は、「当社は独自の出力制御システムを米国の自社発電所で運用するなど、今後日本でも本格化する出力制御に対して最先端の知見を持っている。出力制御技術を最大限活かすことで、出力制御の指令が出ても太陽光発電所が発電する電気の抑制量を最小に済ませることができる。米国では州によっては、系統運用状況をリアルタイムで公開しているので、発電所側から出力の平準化を実行できるのだ」と強調する。
さらに今後、蓄電池などと連携してより効率化して使う技術が求められていることから、オペレーションの果たす役割は大きいといえるだろう。
文/南野彰
※『SOLAR JOURNAL』vol.15 より転載