『不都合な真実2』公開!アル・ゴアが”現実”を語る
2018/02/07
世界に衝撃を与えた映画公開から10年。アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領の戦いは終わらないどころか、益々ヒートアップしていた。発展途上国の事情や近年の自然災害の原因に鋭く斬り込み、不都合な真実を次々と突きつける!
あれから10年
人類は地球のために努力してきただろうか?
2006年、環境問題啓発に燃えるアル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領の活動を軸に地球温暖化について斬り込んだドキュメンタリー映画『不都合な真実』が公開され、一大センセーションを巻き起こした。同作はアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞し、ゴア氏はノーベル平和賞を贈られた。
あれから約10年。人々は地球の危機を真剣に受け止め、積極的に何かを行ってきただろうか……? 昨年11月に日本でも公開された続編『不都合な真実2:放置された地球』では、その実態に迫っている。
筆者の友人でもある両作のプロデューサー、レスリー・チルコットは、前作の影響とその後についてこう答える。
「前作の公開後、地球温暖化を意識する人がアメリカ国内で80%以上にもなりました。そして、再生可能エネルギー産業が拡大し、購入費用が下がりました。例えば、ウォルマートが店舗の電球のLED化を進めるなど、各企業が担当者を置くようになりました。しかし、地球温暖化への取り組みが政治的な側面を再び持つようになり、十分な速さで進んでいないのが現状です」。
温暖化難民の数が激増
優先事項を再考すべき時
続編では、この10年間に起きた自然災害と地球温暖化の関係、温暖化難民の存在を明らかにしていく。ゴア氏の草の根運動を紹介し、協力して一歩一歩進めていくことの大切さを伝える。
日本人の自然観のベースとなっている神道の持つ「自然に敬意をはらう生き方」は環境問題啓発に相通じると思っていたが、筆者は本作を観て確信した。国は違えど、地球という家を共有している地球人として、地球に敬意をはらう時が来たのだ。
にも関わらず、次世代のことも考えず、自身の経済的利益を優先させる人がいることを本作では糾弾する。また、先進国の人間は発展途上国の現状について無知なことも指摘する。貧しい彼らにとって、先進国が受けてきた恩恵を享受できないどころか、尻ぬぐいをさせられるのは納得がいかないのは当然だ。
政治色が強い場面も多々あるが、次世代を担う子供達のために、地球の未来のために、今アクションを起こすべきだと立ち上がる勇気を与えてくれる作品だ。
PROFILE
アル・ゴア/AL GORE
1948年ワシントンD.C.出身。二世政治家。ハーバード大学卒。クリントン大統領の下、副大統領として二期8年間を務める。高速通信回線の推進者としても知られる。長年の環境問題啓発活動により、2007年にIPCCと共にノーベル平和賞を贈られる。
DATA
2007年にアカデミー賞受賞した地球温暖化問題を描いた作品、『不都合な真実』の続編。世界的エコムーブメントが巻き起こった後の10年間に何が起こったのか? そして、前作では見られなかった、声を荒げ祈るように使命を全うするアル・ゴア氏は私たちに何を託すのだろうか? 今、衝撃の現実が語られる。
現在公開中
配給:東和ピクチャーズ
(C) 2017 Paramount Pictures. All rights reserved.
取材・文/はせがわいずみ
SOLAR JOURNAL vol.24(2018年冬号)より転載