エネルギーを自給できる「永続地帯」が11地域増加!
2018/06/15
エネルギーの自給ができる市町村、いわゆる「永続地帯」の最新調査結果が発表された。日本における再エネの普及が、永続地帯の増加に影響を及ぼしているようだ。
東日本大震災以降、
増え続ける「永続地帯」
「永続地帯」とは、住み続けるために必要なエネルギーと食料を、地域で生み出す事ができる地域のこと。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった再エネの普及とともに、エネルギーを自給できる市町村=永続地帯が増えてきている。
千葉大学大学院人文社会科学研究科の倉阪研究室と、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所は、日本国内の市町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究を長年進めており、その12年目の報告書が公表された。
「永続地帯」研究の最新結果(2018年3月)では、2017年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を試算。
その結果、エネルギー永続地帯の市町村が1年で11増えて82に増加。この5年間で国内の再生可能エネルギー供給は約2.6倍になっている。
徐々に伸びが鈍化している
エネルギー自給
今回の調査結果を見てみると…
(1)2016年度に、太陽光発電の発電量は前年度比2割増、しかし、2014年度(前年度比6割増)、2015年度(前年度比4割増)に比較すると、伸び率は鈍化(表1)。
2012年7月に施行された再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取制度の影響で増加した太陽光発電の発電量は、2016年度はさらに2割増加した。しかし、その伸び率は2014年度6割増加、2015年度約4割増加に比較すると鈍化している。
表1)再生可能エネルギー供給の推移(全国)
(2)太陽光以外の再エネ発電の中では、風力発電とバイオマス発電が対前年度比12%増加。地熱発電は5%減少、小水力発電はほぼ横ばい。
その他の再生可能エネルギー発電の中では、風力発電とバイオマス発電が対前年度比12%増加。バイオマス発電の伸び率は低下したが、風力発電は環境影響評価対象案件が運転開始を迎えつつあることから、増加したと考えられる。その他の再エネ発電については、固定価格買取制度の効果が十分に現れていないようだ。
(3)域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(電力永続地帯)も、21カ所増加し、136に。
図1)エネルギー永続地帯、電力永続地帯の市町村数
その他、詳しい調査結果は「永続地帯2017年度版報告書」にてご一読いただきたい。
日本は地熱の存在量は世界3位、降水量は世界6位で、国土の約3分の2が森林で覆われた再生可能エネルギーの源の宝庫だ。今後も再エネの普及が進み、地域の自然からエネルギーを自給する永続地帯が増加することが期待される。
問い合わせ
千葉大学人文社会科学研究科教授 倉阪秀史
認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 松原弘直
mail:contact@sustainable-zone.org