空回りの再エネ主力電源化。原発停止損失の大嘘とは?
2018/05/10
政府は2011年から2016年にかけて、原発が停止した影響で15.5兆円の化石燃料費が大きな負担になったと言います。しかし、この数字は省エネや節電における再エネの経済効果を全く考慮していません。仮に原発が動いていても、化石燃料は2013年、2014年に価格高騰しており、それほど大差はなかったでしょう。我々が独自に計算したところ、原発停止による本当の損失は7兆円だけでした。それも、省エネと再エネの普及で、2030年まで原発を維持するよりも圧倒的に安くなります。
こうした経産省のエネルギー政策に対し、ISEPでは「エネルギーコンセプト」の抜本的な転換が必要だという提言を出しました。その要旨は【表】の通りです。エネルギーに関わる人たちのガラパゴス頭を変えない限り、再エネ転換のスピードは上がりません。
【表】ISEPの提言
プロフィール
認定NPO法人 環境エネルギー 政策研究所( ISEP) 所長
飯田哲也氏
自然エネルギー政策の革新と実践で国際的な第一人者。持続可能なエネルギー政策の実現を目的とする、政府や産業界から独立した非営利の環境エネルギー政策研究所所長。
Twitter:@iidatetsunari
取材・文/大根田康介
『SOLAR JOURNAL』vol.25より転載