初期費用を負担する「ゼロ円ソーラー」が続々! 普及のカギは自家消費
2018/08/02
ユーザーが初期費用なしで太陽光発電を導入できる「ゼロ円ソーラー」が増えてきた。初期費用をメーカーや施工会社が肩代わりするかわりに、月々の電気料金を徴収することで、負担分を回収していくビジネスモデルだ。
「本体ゼロ円スマホ」に
よく似たビジネスモデル
ユーザーが初期投資費用なしで太陽光発電を設置できる「ゼロ円ソーラー」が徐々に増えてきている。
大手では、ソーラーフロンティアが3月に横浜市の事業者向けに初期投資ゼロ円のサービスを開始。太陽電池モジュールやパワーコンディショナなどの設備機器はもちろん、設置工事やメンテナンス、故障対応まですべてソーラーフロンティアが担当する。
ユーザーは、電気料金を従来の電力会社ではなく、ソーラーフロンティアに支払う。ユーザー側からしてみれば、電気料金の支払い先が変わるだけで、太陽光発電を実質無料で設置できるというわけだ。契約期間は17年間で、期間終了後の太陽光発電設備はそのままユーザー側に無償譲渡される。
このゼロ円ソーラーのビジネスモデル、どこかで見たような覚えはないだろうか。そう、スマートフォンの「本体実質ゼロ円」とうたう販売手法とそっくりなのだ。
スマホの場合は、本体の価格が分割で月々の使用料金に上乗せされるが、その分割分を割引きすることで、2年間継続すると本体が実質ゼロ円で手に入る、というもの。ユーザー側は無料で本体が買えるし、通信会社側は2年間安定して通信料金を徴収できる。双方にメリットのある仕組みだ。
ソーラーフロンティアのゼロ円ソーラーの場合も、ユーザー側は無料で太陽光発電を設置できる。ソーラーフロンティアとしても、毎月安定して電気料金を徴収できる(ユーザーが使いきれなかった余剰電力は、ソーラーフロンティアが電力会社に売電)。
売電型の発電所が減少し
「自家消費型」へとシフト
ゼロ円ソーラーのポイントは、電気の「自家消費」にある。
これまで太陽光発電のメーカー各社や大手施工会社は、メガソーラーなどの発電所を建設し、作り出した電気をすべて電力会社へと売電していた。しかし売電価格の下落や、メガソーラーに適した土地の減少などにより、この事業形態が通用しなくなりつつある。そこで、電気を売るのではなく、発電したその場で使う自家消費型のビジネスモデルが台頭してきたわけだ。
これと同様の考えに基づいた「PPA(Power Purchase Agreement)」と呼ばれる電力小売事業は、国内市場で急成長すると予測されている。また一部報道によると、京セラや、太陽光発電施工大手のウエストホールディングスなども「自家消費型ゼロ円ソーラー」の準備を進めており、年内にもサービスを開始するという。
参考:2030年度には電力小売事業の「PPA」が市場規模400倍に
売電型から脱却し、自家消費型へとシフトする太陽光ビジネス。国内市場が縮小傾向にある中で、新規需要の開拓へ「ゼロ円ソーラー」に注目だ。