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一般海域占用期間が最長30年に! 洋上風力発電の新法案とメリットとは

日本では海域の占用に関する
ルールが整っていない

日本で洋上風力発電の普及が進まない背景には、長期にわたる海域の占用を実現するための統一的ルールがなく、先行利用者(海運や漁業等)との調整を図るための枠組みも整備されていないことが挙げられる。

沿岸から近い港湾区域に関しては、2016年に港湾法が改正され一定のルールが定められたが、海域の大半を占める一般海域については未整備のままだ。今回の法案では、この一般海域が対象となる。

一般海域の占用ルールに関して、現状でも都道府県の条例はあるが、許可される占用期間が3〜5年と短く、長期の事業計画を立てるには厳しい内容といわざるを得ない。事業性が見通せないことから、資金調達の面でも足かせとなっていた。

全国5ヶ所を促進区域に指定
占用期間30年に

こうした状況を踏まえて策定されたのが、今回の法案「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」だ(以下「洋上風力促進法」と略す)。

洋上風力促進法では、海域の占用期間を最大30年間まで可能とする。その前提として、洋上風力発電を促進するための「促進区域」を国が定める。その区域内に限って、占用期間を30年間とするわけだ。

促進区域以外の海域でも洋上風力発電事業を計画することは可能だが、占用期間は3〜5年のままとなる。促進区域は、自然条件や港湾の利用可能性、漁業への支障の有無などを踏まえて選定される。洋上風力発電の適地を促進区域として優遇することで、効率的な導入を促し、発電コストの低減を図っていく方針だ。

促進区域においては、海運や漁業など先行利用者(利害関係者)との調整を行う仕組みも整備される。なお、促進区域は全国に5区域程度が設定される予定。候補地として青森・秋田・長崎などが想定されるが、現状においては確定していない。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載

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