農山漁村で再エネ!? 電力供給で地域活性化を目指す
2016/04/18
「農山漁村再生可能エネルギー地産地消型構想支援事業」とは? 地域資源に精通した農林漁業者による再生可能エネルギー事業の実施、市町村の関与した地域主体の小売電気事業者の設立を通して、地域活性化を促すのを目的としている。
電力小売り全面自由化が
外部に依存せず安定供給とコスト削減
これまで再生可能エネルギーは「量」を増やすことに重点が置かれていました。エネルギーミックスの議論でも、全体における再エネ割合がテーマの中心となってきました。
今後は量の確保と合わせ「質」のレベルをどう上げるかというのが、我々のテーマになります。生活に必要な電気をどこで作るか考えた場合、我々としては、農山漁村にこそ、その資源が豊富にあると考えています。太陽光、風力、小水力、地熱、バイオマスなど地域の資源をいったんエネルギーに換えた後は、売電収入か、熱利用か、自家消費か等々活用のストーリーをしっかり描くことが重要と考えています。
農山漁村のなかには、導入段階からどうすればいいかわからないという声もまだ多く聞かれます。そのため、再エネ導入を通じ、農山漁村の活性化と農林漁業の振興を進めるべく「農山漁村再生可能エネルギー法」を2014年5月に施行しました。
まずは地域の皆様に、再エネ導入に関わってもらうのが目的です。宮城県七ケ宿町では、この法律を活用して、休止中の町営牧場でのメガソーラー運営事業者にシャープを公募選定しました。同社が寄付する売電収入の一部を町の基金へ還元して地域の農林業振興策に充てる計画です。
再エネ地産地消のために
小売電気事業者を地域に作る
導入が進めば、同じ地域内で電気の安定供給が可能になります。農業は生き物が対象なので、停電したら今日1日は何もしない、というわけにはいきません。外部に依存せず自分たちで電気を作る方が安定供給につながるでしょうし、またより安価な電気を調達できると思います。
今回の事業のポイントは、地域主体の小売電気事業者(マネジメントシステム)を地域に作ることです。
地方公共団体、農林漁業者などが主体となって小売電気会社を設置してもらえれば、自分たちの地域で作った電気を自分たちの地域で使え、お金も地域内でまわり経済循環が生まれます。
例えば、群馬県中之条町では全国の初の自治体が主体の新電力(PPS)を作りました。町内にあるメガソーラーの電気をPPSが購入し、東京電力の送配電網を使って町内の公共施設に電力会社より安価で販売するという仕組みです。
農山漁村で安価な電力の提供による農林漁業のコスト削減や熱利用促進による地域活性化を実現するため、再生可能エネルギーの地産地消を促してまいります。
文/大根田康介
イラスト/イケウチリリー
※『SOLAR JOURNAL』vol.15 より転載