「モジュールやケーブルからの火災事故等は100万件に1件」JPEAが説明会
2019/02/08
太陽光発電協会(JPEA)と日本電機工業会(JEMA)が、1月31日に説明会を実施。1月28日に消費者庁が公表した「住宅用太陽光の火災等事故の原因調査」のまとめを受け、業界団体としての見解を述べた。「太陽電池モジュールまたはケーブルから発生した火災事故等」の発生率は100万件に1件程度だという。
消費者庁の報告書に対し
JPEAとしての見解を発表
1月31日、太陽光発電協会(JPEA)と日本電機工業会(JEMA)が共同で、報道関係者向けの説明会を開催した。これは、1月28日に消費者庁が公表した、住宅用太陽光発電の火災事故に関するまとめを受けてのものだ。
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説明会では、まずJPEAの事務局長である増川武昭氏が、住宅用太陽光発電システムの事故発生率と発生件数について語った。
消費者庁の事故情報データバンクに登録されている、太陽光発電から発生したとされる事故等について、累計導入件数に対する事故等の発生率は、100万件に10件程度。また、委員会報告書の重点調査対象とされた「太陽電池モジュールまたはケーブルから発生した火災事故等(計13件)」の発生率は100万件に1件程度で、発生件数として増加傾向はないという。
出典:JPEA
増川氏は「ただし、増加していないからいい、というわけではない。我々JPEAとしては、いかにこの件数をゼロにしていくか、という取り組みを継続していく」と述べた。
続いて、JPEAの技術部長である亀田正明氏が、消費者庁の消費者安全調査委員会の見解と、JPEAの見解について語った。
太陽電池モジュールの発火について、消費者庁の報告書では、以下の4段階のプロセスが想定されている。
①経年劣化や製造上の問題により配線接続部の高抵抗化
②バイパス回路の常時通電
③バイパス回路の断線
④配線接続部の断線または異常発熱
出典:JPEA
最初の①接続部の高抵抗化について、亀田氏は「製造段階において、太陽電池モジュールの半田接続部は、高抵抗部分が生じないよう、万全の管理のもとに製造されている。これが一番重要なポイントだ」と強調した。
出典:JPEA
次に、②と③に関連するバイパス回路について、「バイパス回路の本来の目的は、モジュールに影がかかった場合などに電流のバランスが崩れるのを避けること。仮にバイパス回路が断線故障したとして、その状態でセルに影がかかると、セルの温度が高くなることはあるが、直接火災に結びつくほどの高熱にはなりにくい」(亀田氏)。
出典:JPEA
④の異常発熱については、メーカーによる検証実験の結果を紹介。600℃程度まで加熱すると封止材が発火するが、線香花火のようにチリチリと焼ける程度で、それ以上には燃え広がらない。つまり、煙は出るものの、火災にいたるような炎にはならないという。
出典:JPEA
一方、消費者庁の報告書では、屋根への延焼についても言及されている。
先述の①~④の段階を踏んで太陽電池モジュールが発火したのち、さらに屋根のルーフィングや野地板に着火・延焼すると、住宅火災などの大きな被害につながりうるとしている。
出典:JPEA
だがJPEAによると、万が一、モジュールが発火したとしても、野地板に延焼する減少は再現できていない。メーカーの実験結果で、約1,500℃のバーナーの炎で直接バックシートを炙ったが、延焼の程度はわずかだった。また、同じバーナーの炎で端子箱を炙っても、周辺部には延焼しなかった。
こうした実験結果から、モジュールの発火が野地板への延焼に至ることは、ほとんどないと考えられるという。「火災を予防するには、他の電気製品と同じように、配線部の安全を確保すること、配線部に十分な耐久性を持たせることが非常に重要だ」(亀田氏)。
出典:JPEA
亀田氏は「今回の消費者庁の報告は、原因のすべてを網羅・解明しているものではないが、現実に住宅火災が発生した事実を受け、厳粛に受け止めている。今後、太陽光発電の火災再発防止に努め、お客様が安心してシステムをご使用いただけるよう取り組んでいく」と語った。