点検効率UP! “サーモグラフィカメラ”でパネルの不具合を見逃さない!
2019/06/05
最新技術を用いた効率化が進む太陽光発電所のO&M。赤外線カメラの分野で高いグローバルシェアを誇るフリアーシステムズのハンディタイプカメラによる点検現場を取材した。
片手操作のハンディで
パネル異常を逃さず可視化
特産品の落花生で有名な千葉県八街市。ここの高圧太陽光発電所に不具合があるらしいということで、O&Mサービスのアドラーソーラーワークスのエンジニア、深町緑氏による現地調査に同行した。
その際、深町氏がパネル点検のために使用したのが、世界の赤外線市場をリードするグローバル企業、フリアーシステムズのハンディタイプサーモグラフィカメラ「E4-Wi-Fi」だ。
フリアーシステムズ
「E4-WiFi」とは?
Wi-Fi連携機能を備えたハンディタイプのサーモグラフィカメラ。太陽光発電所を効率よく点検できる、フリアーシステムズ独自の機能を備えている。画像とデータをWi-Fi経由で「FLIR Toolsアプリ」へ簡単アップロードできるため、現場̶オフィス間の画像共有や点検後のレポート作成などが容易に行え、O&Mを省力化できる。
カメラには、4800(80×60)ピクセルの赤外線解像度、スーパーファインコントラスト(MSX)機能を搭載。目視では判別できないパネルの異常を熱で感知する。今回は、代表的な不具合の1つであるバイパスダイオード故障によってパネルが発熱し、出力が3分の1に低下していた。
操作はいたってシンプルだ。片手でグリップを握り、人差し指を撮影ボタンに掛ける。カメラをパネルに向け、軽くボタンを押せば、熱が高い箇所ほど白く映る。これで点検作業は完了だ。各種設定も親指だけでできる。
重さはバッテリーを含めて575グラムで、持ってみると軽い。持ち手の形状も握りやすく「1日中持って歩いても負担は軽い」と深町氏はいう。片手で持ち運べるため、他に工事関係の工具など重たい装備を持っていても、点検作業に支障はない。住宅用など屋根上の場合も、安全に作業できる。
さらに、Wi-Fi機能が付いているため、画像とデータを専用アプリにアップロードし、すぐに本社と共有できる。
撮影したカメラの画像が見にくければ、色調などの補正が可能だ。画像確認作業の際、パソコン上のインターフェイスも使いやすい。
他社製品では、データの拡張子がJPEG以外の特殊なもののケースもあるが、その場合、パソコンで確認する時にサムネイルが表示されず、1枚1枚データを開いて見なければならないことも。フリアーならそうした手間もかからない。50年以上の歴史をもつ同社ならではの気遣いだ。
点検を効率化! FLIR「E4」の特長
パネルの異常が一目瞭然
パネルの状態を赤外線カメラで捉え、目視点検では判別できない異常を逃さず可視化。画面の色によって異常箇所がひと目で分かる。クラスタ故障やバイパスダイオードの機能など、原因調査につなげる。
“親指ひとつ”の高い操作性
親指ひとつで操作できるシンプルなボタンナビゲーション。撮影条件や画面の設定を簡単に変更できる。フォーカスフリーレンズを採用し、575グラムの軽量・コンパクト設計だから、ハンディを片手に持ったまま負担なく点検を実施できる。
視認性に優れた鮮明な画像
4800ピクセルの赤外線解像度を有する3インチのLCDカラーディスプレイには、フリア独自のスーパーファインコントラスト機能(MSX)によってリアルタイムで補正され、文字もはっきりと映し出された鮮明な画像が表示される。
実際の撮影画像。パネルの下部に、帯のような熱異常がはっきりと示されている。目視では確認することができない不具合だ。
「E4」なら気候や場所を選ばず、
安全で収益性も下がらない!
では、どんな場面でこのカメラを使うのが有効なのか。
今回の不具合は、アドラーソーラーワークスが行う年次点検で判明した。パネル1枚だけの不具合を見つけられるとすれば、ストリング監視を導入しているケースだ。なぜなら、1枚だけ出力が低下してもパワコンレベルの出力にはほぼ影響がなく、通常の遠隔監視システムでは見つけにくい。しかし、「一般的な100kW〜2MWの発電所では、ストリング監視はそれほど導入されていないでしょう」(深町氏)。
そうなると、数千枚のパネルの中から出力が3分の1に低下しているものを1枚だけ見つけるわけで、至難の業だ。同社では年に1回、現場で全パネルを点検するサービスを設けている。IVカーブ特性測定など、他の点検項目と共に発電所の健全性を確認する。
他にも、接続箱の端子盤やケーブルの接触不良などでも異常が出るケースもある。そうした箇所も、手で直接触れることなく熱を測れるため、感電の恐れもない。
気候や場所を選ばないのも大きなメリットだ。取材当日は春の嵐で、八街市名物の”やちぼこり”が起こっていた。最近ではドローンによるサーモグラフィ点検も出てきたが、一定以上の強風では使えない。また、高速道路や鉄塔など安全上問題がある場所では使えないケースもある。ハンディタイプなら、そうした心配は無用だ。
この点検の最大の意義は、メーカー保証を受けるための交渉材料に使える点だ。これは発電所の収益性に直結する。
通常、こうした不具合があれば、メーカー保証(=パネル交換)の対象になりうる。ただ、不具合を証明するため、パネルの電流や電圧のチェックを求められることがある。サーモグラフィの画像があれば、一目でわかる不具合の証拠を示せるため、交渉を進める糸口として有効なのだ。発電を止めずに(=収益を下げずに)作業できる点も、サーモグラフィによる点検の利点だ。
たった1つのカメラに、多くの可能性が秘められている。
問い合わせ
フリアーシステムズジャパン株式会社
東京都品川区上大崎2-13-17目黒東急ビル5階
TEL:03-6721-6648
撮影/都築大輔
取材・文/大根田康介
SOLAR JOURNAL vol.29(2019年春号)より転載
Sponsored by フリアーシステムズジャパン株式会社