編集部からのお知らせ

事故発生を受け、水上太陽光の設置基準見直しへ! 今年6月に電技解釈改正か

意外に知られていないが、メガソーラーなどを支える支持物の要求性能は、これまで地上設置が前提とされてきた。今回ようやく、水上設置の条件を法体系に盛り込む方向が示された。水上に特有の波力などの要件が明記される。

水上メガソーラー事故受け
設置要件などの見直し進む

2019年9月、台風15号による水上太陽光発電設備の事故は、まだ記憶に新しい。これらの転覆や破損事故を受け、経済産業省らは再エネ発電設備の設置要件などの見直しを進めている。

中でも、水上に設置する太陽光発電設備は、ガイドラインなどのテコ入れが図られている。というのも、太陽光発電設備を支える支持物の性能に関わるガイドラインは、これまで地上設置を前提としてきたからだ。

支持物の要求性能に関するJIS規格や民間ガイドラインは、いずれも地上設置型の設備を対象としている。

経産省の「新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ」では、これまで、水上太陽光に特有の荷重や構造的な特徴、事故事例などをもとに検討を重ねてきた。

4月1日の同ワーキンググループでは、この水上特有の荷重などを法体系に組み込みむことを決めた。


解釈に水上設置の要件追加
2020年6月施行の予定

太陽電池を設置する際の支持物の要求性能は、電気事業法に基づき「電気設備の技術基準の解釈(第42条2項:支持物の要求性能)」に定められている。

改正案では、設計時に考慮すべき荷重や外力として、水上設置を想定し「当該設置環境において想定される各種荷重」の文言を追加する。

これまでは地上における、自重、地震、風圧、積雪は想定されていたが、水上での同様のケースも想定に加える。これらの要件を解釈として明文化する方向だ。

加えて同第46条の、基礎や部材に求める性能についても改正案が出された。水面への設置であっても地上と同様の基礎性能を求める。

また、支持物の部材として、劣化しにくいものや劣化防止措置が施されたものを使用することが求められる。

同ワーキンググループでは、昨年の台風15号による千葉県・山倉水上メガソーラーの事故報告もなされた。

報告によると、強風時に偏荷重が発生することが判明した。さらに、アンカーの一部の配置に配慮が欠けており、過大な荷重がかかり、アンカー抜けにつながったという。

こうした事故事例などを踏まえた改正案は、今後パブリックコメントを経て、2020年6月施行の予定だ。


DATA

新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ


文/山下幸恵(office SOTO)

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【第7次エネルギー基本計画の原案公表】40年度に太陽光は22~29%程度、風力は4~8%程度...
  2. 【経済産業省】FIT案件への制御が増加し、FIP案件への制御が大幅に減少の見通し...
  3. いつまで続けるのか、ガソリン補助という愚策
  4. 太陽光発電のプロ集団・エコ革 「ANDPAD」で顧客満足度をアップ!
  5. 【参加受付中!】2025年1月29日(水)「第32回PVビジネスセミナー」
  6. 【実証実験】横浜市が次世代型太陽電池の実証実験を開始‼
  7. 【内閣府】「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」に対するパブリックコメント...
  8. 【閣議決定】住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案が閣議決定。3省が連携して支援する...
  9. 資源総合システム「太陽光発電海外市場レポート 2024年版」を発行
  10. 太陽光による“地域再生”成功の秘訣とは?JPEAソーラーウィーク大賞、受賞者が語る【後編】...
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.51 | ¥0
2024/10/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ