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コロナ後の経済回復は再エネが担う 2020年は分散型エネルギーへのシフトが加速!

コロナショックを受けた世界はどのように新しいスタートを切るのか? 二つのニュースを取り上げ、今後の経済立て直しと再生可能エネルギーの関係、地域での分散型エネルギーの需要増について語る。エネルギージャーナリスト・北村和也氏の連載コラム第17回。

これからの世界と
エネルギーの行方

今回は、二つのニュースを取り上げる。コロナを経験した後の世界観の中での新しいスタートをテーマにピックアップした。

新型コロナ対応が一段落、非常事態宣言とお店などに対する休業要請もほぼ全面的に解除となった。誰もが繰り返すように、アフターコロナはコロナ前とは同じではない。コロナとの共生とかwithコロナとか名付けているが、本質はタイトルではなく、どういう世界なのかである。

最初のニュースは、このコラムが求める“ど真ん中”のエネルギー、それもIEA(世界エネルギー機関)が発信したものである。IEAはご存知のように50年ほど前に第一次石油ショックをきっかけに設立された国際的なエネルギーの諮問機関で、現在の加盟国はOECD加盟の29か国だ。

イメージ的には原発推進がベースにある気もしていたが(筆者の一方的な想像)、最近は再エネに関する各種統計や提言なども積極的に行って変化している。

コロナショックの
経済立て直しは再エネで

さて、件のニュースは、6月18日にIEA事務局長が行った記者会見である。新型コロナで大きく傷ついた世界経済を再構築する方策は、再エネを中心とした投資で行うべきだという内容であった。「Sustainable Recovery:持続的な回復」という名の報告書を説明している。

そのベースにあるのは、IEAが4月に発表した新型コロナが今年の経済などに与える影響である。2020年の通年の世界の成長率は大幅に落ち込んでマイナスおよそ6%になるという予測であった。また、二酸化炭素の排出量を前年に比べておよそ8%削減と見込んでいる。

CO2の排出量が減ることは誰が見てもよいことであるが、あくまでも社会経済活動の停滞による一時的なものである。大きな経済的な衝撃であった2008年の金融危機では、そのあとの経済回復でCO2排出量が急激に増えたという苦い経験があった。

IEAとしては、これを繰り返さないためにも、再エネ中心とした投資が肝心であると表明したのである。エネルギーの需要減で一時的に減った二酸化炭素が、再び化石燃料の使用で増加するのでは元も子もないという訳である。IEAの事務局長であるビロル氏は、「同じことは避けたい」と強く語っている。

再エネとEV普及に
年間100兆円規模の投資を

報告書では、太陽光や風力発電やEVの積極的な導入を進めることで、そのために今後3年間、毎年およそ1兆USドル、日本円にして100兆円を大きく超える投資を提言している。これを、「持続的な回復計画」とIEAは名付けた。

この投資は、世界の経済成長を年率1.1%に呼び戻し、およそ900万人の雇用を確保したり、増やしたりすることが可能するという。

それに加えて、最終的にエネルギー由来の二酸化炭素を年間45億トン減らすことができ、空気汚染を5%削減できるメリットが計画の実行で生まれると訴えている。

IEAによれば、計画は世界の政策決定者に対してのものであり、世界経済とエネルギー、そして気候変動への同時解決が短期間内で実現できることを示すものである。

見方を変えれば、IEAは、アフターコロナの新しい世界をエネルギーの視点から示しているとも言える。重要なのは、何が起きるかというふわっとした予想ではなく、データに基づき何ができるかという現実策をポジティブに明らかにしたことである。

IEAの事務局長はいみじくも、「この計画は、各国政府が何をしなければならないかではなく、何ができるかを描いたものである。」と締めくくっている。

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