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再エネビジネスの“新しい波” このチャンスを活かすには?

コロナショックを受けた世界はどのように新しいスタートを切るのか? 「新しい生活様式」が浸透する中、再エネ分野に起きているビジネスチャンスの“波”について、エネルギージャーナリスト・北村和也氏が語る。連載コラム第18回。

エネルギーに起きる新しい波

新型コロナをきっかけとした、「新しい生活様式」という言葉が定着してきている。

聞けば聞くほど窮屈で不自由感が漂うが、考えても他に選択肢はなかなか思いつかない。もし、この新しい生活様式が今後ずっと続くのであるなら、基本的に今の形の観光業や飲食業は全滅しかねない。

なぜなら、例えば最初からお客さんの数を半分にして収益計算をしなければならないからである。単純な解決策は大幅な値上げであるが、いまどきそれが通るはずもない。残るは、事業形態の根本的な変革である。他の業態を合わせたり、別の業種とコラボしたりするなど、これまでにない工夫が必須となる。

エネルギーに話を移そう。

あちこちで取り上げられているように、コロナ禍の下でも驚くことに再エネだけが伸びるという現象が続いている。確かに、需要が大幅に縮小する中、欧州などでは優先的に扱われた再エネの割合が、相対的に高くなることも要因である。

しかし、もっと広い観点から、また中長期的に見る必要がある。再エネの持つ温暖化防止効果を地球規模での危機管理としてとらえること、エネルギーセキュリティの考え方から分散型エネルギーに重要なメリットを認識することはごくまっとうな考え方である。実はこれらのことは、コロナ前から言われており、コロナショックは再エネ主流の波を加速させることに寄与したのである。

実際に、日本でもその大きな波に飲み込まれる動きが出てきている。例えば、経産省が示した石炭火力発電の縮小である。7月初めに打ち出された方針では、国内の石炭火力の発電施設のうち低効率なものおよそ100基を休廃止するという。

確かに高効率の発電所は残して新設も認めることや、発電能力で見ると2割しか減らないなど、“やっているふり感”が色濃く残る。しかし、縮小方向を示した影響は大きい。第5次エネルギー基本計画における「再エネの主力電源化」の明示のように、既成事実化するのは確実で、脱石炭火力化は一気に進むことになるであろう。

それと連動する形で、送電線の利用ルールも見直される。欧州の先進国のように、太陽光や風力などの再エネ事業者が送電網を優先的に利用できる仕組みをつくる方向も、明らかにされている。

世界に遅れていた日本の政府が重い腰を上げつつある。

“新しい様式”に合致した
再エネビジネスとは

再エネは、いわば、エネルギーにおける“新しい生活様式”である。ただし、前述したように、それはコロナ禍よりだいぶ前から始まっていた世界的なトレンドである。そのビジネスモデルは、初期段階を終え、次のステップに入っている。

FIT制度などの再エネ保護政策に乗っかった単純な拡大路線から、再エネを効率よく導入し、無駄なく使うビジネスへと姿を変えてきているのである。これは、コロナによって大打撃を受けた観光・飲食業界の生き残りに向けた変化・変革と、どこか共通点がある気がしてならない。

例えば、FITによる高価格での買取りをベースに拡大してきた太陽光発電業界を考えてみよう。太陽光パネルを大量生産するメーカー、土地を探し出し設備を有する発電事業者、建設の数を競う施工業者が、それぞれの役割の中でFITの甘い利益を分け合い、享受してきた。パネル生産者はラインを増やし、施工業者は膨らむ注文に対応するだけで、売り上げの倍々ゲームに結び付いた。自分たちの役割を黙って果たしていれば儲かっていたのである。

ところが、買取価格の下落を背景に、パネルの安値競争や適地の減少、果ては出力制御など、一筋縄では立ち行かない新たな状況が次々とやってきた。そして、それぞれのフィールドで少なくないプレーヤーが消えていった。

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