2030年エネルギーミックスのヒアリング始まる。届け! 発電事業者の声(風力発電編)
2021/04/09
2030年のエネルギーミックス(電源構成)見直しのため、資源エネルギー庁が発電事業者や業界団体などへのヒアリングを進めている。太陽光発電の関連事業者を対象とした前回に引き続き、3月15日には風力発電を対象にヒアリングが実施された。委員会の参加者の“声”を抜粋して紹介する。
2030年の目標とコストを提示
政策面のリーダーシップが不可欠
3月15日の第28回・再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会では、風力発電事業の関連団体などのヒアリングが実施された。参加したのは、公益財団法人 自然エネルギー財団、一般社団法人 日本風力発電協会、一般財団法人 電力中央研究所の三者だ。陸上風力と洋上風力それぞれの2030年の導入目標や推計に加え、導入に要するコストなども示された。
まず、自然エネルギー財団の示した内容が以下の通りだ。
(自然エネルギー財団のヒアリング資料を元に筆者作成)
世界の風力発電の拡大とコスト低減を受け、現状の政策を想定したケースに加え、さまざまな転換促進策がとられた場合の数値も明示した。こうした導入の拡大に向けては、買取制度の継続的な運用や系統運用の高度化、洋上のゾーニングや促進区域の指定などが欠かせないとした。
「日本版セントラル方式」で
リードタイムやコスト削減に期待
次に、日本風力発電協会の示した数値が以下だ。
(日本風力発電協会のヒアリング資料を元に筆者作成)
導入ペースは、陸上風力発電で現在年間1.2GW(認定ベース)だが、年間1~2GWを目指す。リードタイムについても、陸上風力は現状約8年を5年に、洋上風力は再エネ海域利用法によって事業者選定から運転開始までにかかる現状8年を3~4年に短縮することを想定している。
発電量あたりのコストであるLCOEは、いずれも8~9円/kWhとした。ただし、洋上風力においては、案件形成の段階から政府が関与することで、より迅速かつ効率的に風況等を調査し、適時に系統確保等を行う「日本版セントラル方式」による導入拡大を前提とした。
最後に、電力中央研究所は陸上風力の導入容量を15GW、洋上風力を5GWと推計した。発電電力量は、陸上風力が約320億kWh、洋上風力が約139億kWhとの見立てだ。なお、この数値は分析時点の最新の状況を踏まえた推計であり、目標ではないとしている。
DATA
第28回・再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会
文:山下幸恵(office SOTO)