埼玉県のメガソーラー計画に経産省が勧告。環境保全措置の大幅な改善求め
2022/04/04
経産省が「さいたま小川町メガソーラー」に対して、環境保全のための措置が不十分であるとして抜本的な計画見直しを求めている。大規模な森林伐採や土地の造成に伴い、住民への説明や盛り土の搬入などを改善するよう勧告した。
環境保全措置が不十分との指摘
広範な森林伐採や多量の盛り土も
経済産業省は2月22日、小川エナジー合同会社が埼玉県比企郡小川町で開発を予定する「さいたま小川町メガソーラー」に抜本的な計画の見直しを求めた。さいたま小川町メガソーラーは、開発にあたって大規模な森林伐採や盛り土の計画があったが、この計画に対し十分な環境保全措置が行われていないとの判断から、今回の勧告に至った。
小川エナジー合同会社が提出した、さいたま小川町メガソーラーの工事計画では、谷を埋めるという大規模な盛り土による造成工事が予定されていた。発電所の面積は約86ヘクタール。必要な盛り土の量は約72万立方メートルとされ、この約半量の土砂を他の地域から搬入する計画だった。この盛り土の量は、2021年7月に静岡県熱海市で発生した土砂災害事故の約10倍に相当するという。
事前に提出された埼玉県知事や環境省の意見書では、土砂の搬入に伴い1日300台を超える工事車両が往復することなどから、近隣住宅への振動や騒音への懸念が指摘されていた。また、発電所の建設予定地には以前、残土処分場の建設計画があったことから、発電事業以外の目的を含むのではないかという疑義が生じているともされていた。
環境アセスメント法改正後の勧告
抜本的な計画の見直し求められる
2020年4月の環境影響評価法(環境アセスメント法)の改正によって、30MW以上の太陽光発電所も環境評価の対象となった。環境アセスメント法とは、発電所などの開発による環境への影響について、事業者が行った調査や評価を公表し、広く意見を求める制度だ。
環境への影響評価が義務付けられるのは第1種事業の40MW以上で、30〜40MW未満の第2種事業では、経産大臣が環境評価の要否を判断する。今回、経産省が勧告を言い渡した、さいたま小川町メガソーラーは、出力39.6MWで第2種事業に該当する。
環境アセスメントでは、あらかじめ「環境影響評価方法書」で計画を公表したうえでアセスメントを実施し、その結果を「環境影響評価準備書」で報告することになっている。さいたま小川町メガソーラーの方法書は、2020年4月に経産大臣に受理され、環境アセスメントを実施した後の2021年4月に準備書が受理された。
さいたま小川町メガソーラーは今後、経産省に勧告された点を改善し「環境影響評価準備書」を取りまとめる必要がある。具体的には、関係各所や地域住民への説明のほか、工事計画の見直しや土砂の搬入などについて見直しを求められている。
DATA
経済産業省 小川エナジー合同会社「さいたま小川町メガソーラー環境影響評価準備書」に対する勧告について
文:山下幸恵(office SOTO)