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電力受給ギャップが問題に。米国”ダックカーブ現象”

太陽光発電の年間と累積の導入量がともに全米No.1のカリフォルニア州。2030年までに州内の電力販売量の50%を再生可能エネルギーで供給することを目標に掲げる同州で、太陽光発電の大量導入に伴って引き起こされる問題とその解決策が、ここ数年米国で話題になっている。

カリフォルニア州に現れた
「ダックカーブ現象」とは?

この騒動は、カリフォルニア州の送電系統を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(California Independent System Operator:CAISO)が発表したレポートに掲載されていた「ダックカーブ(アヒルの形をした曲線)」または「ダックグラフ」が発端となっている。

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<出典:California Independent System Operator>

ダックカーブは、カリフォルニア州における時間帯別「実質」電力需要(Net Load)の2013年から2020年にかけての変化をグラフで表したもので、実質電力需要とは、電力会社の全体の電力需要量から、太陽光発電の発電量を差し引いたものである。これにより、再生可能エネルギー導入の拡大に伴い、どのようにグリッド(電力系統)に影響を与えるのかを分析することができる。

横軸は午前0時から23時までの1日の時間、縦軸は電力消費量( MW)を示す。2013年の曲線を見ると、深夜0時から午前7時までの曲線はアヒルのシッポ、午前7時から16時(午後4時)はアヒルの背中、17時(午後5時)後は、アヒルの首、頭、そしてクチバシを表しているように見えるだろう。

まず、 2013年にはアヒルの「背中」を表していた上向きの需要曲線が、日中に発電がピークを迎える太陽光発電が増えるにつれて、だんだん下向きになり、2015年からは、「お腹」に変わっていく。2020年にはお腹がどんどん膨れ上がっていく。これは太陽光発電が、火力発電などの従来の電力供給源からの需要を減らしていることを意味する。

次に、カリフォルニア州の電力需要は17時以降に大きく伸びるのだが、その時間帯前に太陽光発電は出力がほとんどなくなっている。つまり、太陽光発電の導入が増えるにつれ、この出力下降とピーク需要上昇のギャップが拡大し、アヒルの「首」がどんどん長くなっていくのである。

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