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Sungrow Japanが10周年記念式典を開催 新たな低圧ソリューションと系統用蓄電システムを発表

設立10周年を迎えたSungrow Japanが、盛大な記念式典を開催した。第1部のセミナーでは、Sungrowの歩みを振り返るとともに、注目のソリューションを紹介。第2部の夕食会には、和太鼓パフォーマンスやチェロ独奏もあり、和やかな雰囲気のなかで幅広い交流の場となった。

10年間への感謝を込めて

パワーコンディショナと蓄電システムを中心に、世界の再生可能エネルギー市場を牽引するSungrow(サングロウ)。このほど同社の日本法人であるSungrow Japan(サングロウジャパン)が設立10周年を迎え、2024年11月14日、八芳園(東京都港区)において記念式典を開催した。式典では、最新の低圧案件向けソリューションおよび系統用蓄電システムソリューションの発表も行われ、10周年を祝う来場者の大きな関心を集めていた。

冒頭、挨拶に立ったSungrow Japan 取締役兼営業統括マネージャーの高雨(コウ ユウ)氏は、詰めかけた業界関係者に向けて、これまでの感謝と今後への決意を語った。

「この10年間、皆様方のご支援をたまわり、我々は日本の再生可能エネルギー業界において、たくさんの経験を積ませていただきました。日本の再生可能エネルギー市場は、FITからFIPへ、そしてPPA、蓄電システムの普及など、様々な変化を遂げてきました。我々は、この10年間、多様な製品を導入し、お客様のご要望にお応えするために頑張ってまいりました。今後も、お客様を第一に、全身全霊で邁進してまいります」(高雨氏)。

Sungrow Japan 取締役兼営業統括マネージャー 高雨氏

世界ナンバーワンへの歩みの中で

次に登壇した技術部の上田顕広氏は、Sungrowのこれまでの歩みを振り返るとともに、先ごろJET認証を取得した低圧案件向け5.5kW分散型パワーコンディショナについて説明した。

「Sungrowは1997年に中国で設立され、27年以上にわたり持続可能な電力ソリューションを開発してきました。2015年にPCSの出荷量が世界ナンバーワンになったのを皮切りに、その後、蓄電システムも出荷量ナンバーワンになりました。現在、約15,000人の社員がおり、そのうち開発スタッフだけで約40%、約7000人の人員を擁しています。世界170以上の国と地域に、20社以上の子会社、490ヵ所以上のサービス拠点があり、高い生産能力も備えています。

現状で、インバータに関しましては245GW、蓄電システムに関しましては、55GWhの生産能力があります。工場の増築もしており、近い将来さらにインバータ50GW、蓄電システム45GWhの生産能力向上が予定されています。出荷実績に関しましては、現在605GWの総出荷量に達しており、2023年のグローバル出荷量はPCSが130GW、蓄電システムが10.5GWhで、いずれも世界ナンバーワンとなっています。マーケットシェアに関しましても、各国・各エリアともに3割以上のシェアがあります。売上高も年々増加しており、2023年は前年を大きく上回る1.5兆円超でした。なお、我々Sungrow Japanは、営業部/技術部/総務部/アフターサービス部という4部門体制のもと、現在約50名の社員で皆様にご対応させていただいております」(上田氏)。

Sungrow Japan 技術部 上田顕広氏

低圧向け分散型パワコンの新境地

「次に、5.5kWの分散型パワーコンディショナ“SG5.5RS-JP”についてご説明をさせていただきます。まず基本スペックは、MPPT 3回路(4入力)、最大入力電流25A、最大過積載率300%、最大短絡電流32A、起動電圧60Vとなります。低圧ソリューションとしてのシステム例としましては、このパワーコンディショナ9台を通信機能付き交流集電箱“SAC-9/1-JP”に接続し、そこから系統につないでいただくという形になります。iSolarCloudという我々のクラウドを使っていただくことで、高機能な遠隔監視システムを構築することもできます。JET認証取得済ですので、電力協議の時間も大幅に削減することが可能です。

この低圧ソリューションは、“より多く、より便利に、より安全に”をテーマに開発されました。まず、より多くとは発電量をより多くということですが、MPPT3回路、入力に4回路を設け、それぞれの入力の短絡電流を16Aとすることで、昨今の両面パネルや大型パネルにも対応可能となっています。また、このパワーコンディショナには渡り線が付属しておりますので、4つの入力に渡りをかけていただくことで、最大32Aまでの入力が可能となっています。また、起動電圧を60Vにすることにより、朝や夕方など、これまで発電できなかった時間帯にも発電できるようになりました。また、より安全にということでは、防水防塵IP55、防食塗装C5を実現するなど、劣悪な環境での信頼性向上が図られています。

より便利にというところでは、交流集電箱に内蔵されたLogger1000Bと4G通信ルーターの働きも重要です。「iSolarCloud」と組み合わせることで、遠隔監視や遠隔制御などが可能なので、日々の操作やメンテナンスがより簡単に行なえます。EPC様においては、設定やファームウェアの更新、あるいは出力制御の設定などが遠隔で可能となり、O&M様に関しては、リアルタイムでの監視、アラート発報への対応、データの分析、レポートのダウンロードなどができるようになります。また、事業主様は、発電設備の運転状況のリアルタイムでの確認や、売電収入の管理が容易に行えるようになります」(上田氏)。

ESS出荷量は8年連続で中国企業トップ

続いてスピーチした営業部の高松祐介氏は、Sungrowの蓄電システム事業の沿革と、最新の水冷式系統用蓄電システム “PowerTitan(パワータイタン)2.0”について紹介した。

「Sungrowは2006年にESS(Energy Storage System)事業をスタートさせ、17年以上にわたりイノベーションをリードしてきました。2011年には世界最大の周波数制御プロジェクト、2014年にはチベットで最初のVSGに取り組み、太陽光と蓄電システムの技術統合を推進。2016年には初の集中型DCカップリングPV-蓄電-ディーゼル、2020年には1500VストリングDCカップリング・システム・アプリケーションの実用化に成功しました。

Sungrowは、中国企業の中で、ESSのグローバル出荷量が8年連続で1位に輝いています。2023年の年間出荷量は10.5GWh、2024年は上半期だけで8GWh、12月末までの年間出荷量は30GWhに到達する見通しです」(高松氏)。

Sungrow Japan 営業部 高松祐介氏

効率的で安全性の高い系統用蓄電システム

「我々は、新たにPCS内蔵の水冷式系統用蓄電システム“PowerTitan2.0”を発表しました。パワーコンディショナの出力は2.5MW、蓄電池の容量は5MWhで、それらが20フィートコンテナにパッケージされたシステムとなっています。蓄電池にはモジュール設計を採用し、蓄電池とPCSの連携についてはコネクタ接続によるプラグイン・プラグアウトを可能にすることで、O&Mの容易化を実現しています。

また、背中合わせのレイアウトが可能なブロックデザインを採用しているので、5MW/10MWhのシステムもスペース効率良く組むことができます。このことにより敷地面積は従来の55%程度で済み、100MWhのESSステーションを構築する場合でも、1200㎡程度の敷地面積に納めることが可能となります。

AIを活かした安全性の高さも、本システムの大きな特長です。電池の状況を正確にモニタリングして、AIモデルが能動的にシミュレーションを行うことで、異常な電池を正確に識別し、熱暴走を未然に防ぎます。また、火災の原因となるアークを、ミリ秒単位のレベル認識100%の精度で検出し、数秒でシャットダウンします。さらに、正確な火災警報、タイムリーな換気、爆発緩和などを含む、効率的な消火システムを装備しています。

加えて、気液混合冷却、インテリジェント放熱、ラックレベル管理などの技術を採用し、セルレベルからシステムレベルまで精密な管理を行うことで、寿命の延長やロスの削減、システム放電量の増加といった目標を達成することに成功しました。製品の信頼性を確保するにあたっては、セル、モジュール、バッテリーラック、システム全体でテストを行っており、500以上の全工程で合格したもののみを出荷しています。

Sungrowの系統用蓄電システムは、すでに世界各国で導入されています。日本国内でも今年度中に連系する案件が進行中であり、これを皮切りに多数の導入が予定されています」(高松氏)。

 

加速する再エネ需要の増大に向けて

高松氏のプレゼンテーションに続いては、船井総合研究所の再生可能エネルギーチーム チーフコンサルタント 土井康平氏が登壇し、「脱炭素の観点から見たエネルギー業界の流れと今後」についてレクチャーした。

同氏は、「脱炭素経営の加速により、今後、太陽光を中心とする再生可能エネルギーの需要が加速する」と力説。「2050年脱炭素社会の実現のために、国だけでなく企業としても脱炭素に取り組まなければならない時代になっており、実際に大手企業ではサプライチェーンに対して脱炭素への取り組みを求める例が加速していること」を豊富な事例をもって紹介した。また、「一般企業で脱炭素を達成するためには、CO2排出量の削減インパクトが大きい電力部門の脱炭素化が最も効果が大きいが、その中でもさらに費用対効果や付加価値が得られるのは“自ら再生可能エネルギー”を保有することである」と強調。「国としても再生可能エネルギーの導入には力を入れており、今後は企業が独自で再生可能エネルギー電源を調達するための取り組みが活発化していくことが予想される」とした。

船井総合研究所 再生可能エネルギーチーム チーフコンサルタント 土井康平氏

期待が膨らむSungrow Japanと日本の未来

式典は2部構成となっており、セミナーに続く第2部として夕食会が催された。和太鼓パフォーマンスで始まった夕食会は、終始和やかな雰囲気に包まれ、来場者の笑顔が絶えない時間となった。来場者同士の交流も活発に行われ、Sungrow製品を仲立ちとする新たなビジネスマッチングも図られていた。

来場者との歓談の合間に、Sungrow Japan営業部 統括マネージャーの唐晨(トウ シン)氏は、今後の抱負を次のように述べている。

「日本の太陽光発電およびエネルギー貯蔵市場向けに新しい革新製品、技術を発表できることを大変喜ばしく思います。Sungrowはグローバルで豊富な経験を蓄積しており、深い理解を持っています。私たちは製品全ライフサイクルにおいて、安全性と収益性の観点から、トータルソリューションとワンストップのサービス体制を提供しています。今後も引き続きパートナー企業と協力しながら、共に成長し、日本のカーボンニュートラル目標を支援してまいります」(唐晨氏)。

再生可能エネルギーのさらなる導入拡大と脱炭素社会の実現に向けて、Sungrow Japanへの期待は膨らむばかりだ。

夕食会の様子

Sungrow Japan メンバー

 

問い合わせ先


Sungrow Japan株式会社
〒104-0031東京都中央区京橋1-13-1
WORK VILLA KYOBASHI 4F 401

TEL: 03-6262-9917
Mail: sales@jp.sungrowpower.com


 

取材・文/廣町公則

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