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明日は我が身の〝ケーブル盗難〟 金属盗対策法施行後も警戒は不可欠

太陽光発電所の金属ケーブル盗難が社会問題化して久しい。2025年9月には盗難を防ぐための法律が一部施行されたが、盗難の影響は太陽光発電事業者の経営にとどまらない可能性があり、依然として警戒が必要だ。

<目次>
1.ケーブル盗難が全体の3割強 太陽光が格好のターゲットに
2.電力安定供給を脅かす可能性 太陽光の金属盗は社会的課題

 

ケーブル盗難が全体の3割強
太陽光が格好のターゲットに

近年、太陽光発電所は金属を盗む犯罪者の格好のターゲットとなっている。警察庁の「令和7年版警察白書」などによると、金属製部品などを売却目的で盗む「金属盗」の2026年の認知件数は2万701件と、統計を取り始めた2020年(5478件)の約4倍に。このうち、太陽光発電所からの金属ケーブル窃盗は7054件で、全体の約34%を占める。

太陽光発電所の金属ケーブル窃盗事件は、東京を除く関東に集中。件数全体に占める割合は、2023年が約92%、2024年(1~6月)が約90%だった。たとえば2022年9月~2023年7月にかけて、群馬県を含む関東5県の太陽光発電所から銅線ケーブルを盗んだとして、カンボジア人7名が窃盗容疑で群馬県警に逮捕された。送致された事件の件数は76件、被害総額は2億5400億円に及んだ。関東以外の地域でも、同様の事件が発生している。

金属盗急増を後押しするのは、世界的な需要増や供給不足などによってもたらされた銅価格の高騰。2023年の金属盗の品目別認知件数で最も多いのは、占める金属ケーブル、材質別では約52%の銅となっている。

これに対して国は、金属盗の増加に歯止めを掛けるべく、対策を検討。2025年6月に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗対策法)」が成立した。

同法のポイントは、①特定金属くず買受事業者に対し、売り手の本人確認や取引記録の作成などの義務付け、②犯行に使われる恐れのある大型工具の隠匿・携帯の規制、③盗難防止に関する情報の周知、の3点。同年9月には②・③に関する規定が施行済み。2026年6月下旬までには全面施行の運びとなっている。
 

電力安定供給を脅かす可能性
太陽光の金属盗は社会的課題

同法の効果かどうか定かではないが、警察庁のまとめによると、2025年の太陽光発電所における金属ケーブル窃盗の認知件数は、前年比約45%減の3856件となった。だが大幅減とはいえ、警戒を緩めていい状況とは到底言えない。

2026年4月には、岐阜・愛知・三重・滋賀の4県にある太陽光発電所から銅線ケーブルを盗んだとして、岐阜県警がベトナム国籍の男性を逮捕、送検した旨を発表した、とのニュースが報じられた。それによると、男性を含むグループは2025年6月から2026年1月にかけて、4県の太陽光発電所26か所で銅線ケーブルを窃盗。被害総額は約1億4000万円に及ぶとのこと。盗まれた銅線は愛知県内の業者に売却されていたという。ケーブル盗難は、依然として太陽光発電事業者にとって“他人事ではない”脅威であり続けている。

ケーブル盗難のリスクについて、太陽光発電協会(JPEA)と再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)は2024年に公表した資料で、盗難に伴う回復工事などに3か月以上かかる場合が多いことや、発電停止による経済的損失が生じる点を指摘。さらに、太陽光発電は日本の昼のピーク電力を約3割まかなう日もあるなど社会の重要な電源インフラであり、盗難や発電停止が頻発すれば、電力の安定供給を脅かす可能性もあるとしている。

同法施行後も、太陽光発電所のケーブル盗難が社会的な課題であることに変わりはない。「明日は我が身」と捉え、万全な対策を講じることが求められる。SOLAR JOURNALでは5月20日、盗難の最新動向や対策を学べる「シン盗難対策セミナー」をオンライン(Zoomウェビナー)で開催する予定。対策のさらなる充実を図りたいオーナーは、参加を検討してみてはいかがだろうか。
 


 

 


 

DATA

取材・文/具志堅 浩二

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