政策・制度

民間事業者への支援策を議論 地域脱炭素を推進する検討会を30日開催

地域脱炭素を推進するための検討会の第3回会合が6月30日に開催される。前回の自治体からの事例報告に続いて、今回は民間事業者へのヒアリングが行われる。事業者への支援策のあり方や国・自治体との役割分担などについて議論する。検討会のもようは、インターネットでライブ配信される。

地域に貢献する 
地域共生型の再エネを推進

再エネ促進区域を設定した9自治体(出典 環境省)

全国各地の自治体が脱炭素化を進めるなか、地域の合意形成や環境へ配慮が大きな課題となっている。このため、環境省は2022年4月に地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画制度を拡充し、地域の環境保全や地域の課題解決に貢献する再エネを活用した「地域脱炭素化促進事業」を推進する仕組みを創設した。

この地域脱炭素化促進事業は、市町村が地域の脱炭素化を推進する「再エネ促進区域」を設定し、再エネ事業に求める環境保全・地域貢献の取り組みを自らの計画に盛り込み、適合する事業計画を認定する内容。地域の合意形成を図りつつ、環境に適正に配慮し、地域に貢献する地域共生型の再エネを推進するのが目的だ。

環境省によると、今年4月末現在で再エネ促進区域を設定したのは、埼玉県入間市、長野県箕輪市、神奈川県厚木市、神奈川県小田原市、岐阜県恵那市、滋賀県米原市、島根県美郷町、福岡県福岡市、佐賀県唐津市の9自治体。再エネ促進区域の設定が進まない背景には、人材不足や財源不足のほか、促進区域設定による地域経済へのメリットが少ないなどの指摘がある。

民間事業者への
ヒアリングを実施

環境省

第3回会合はインターネットでライブ配信

環境省は今年度、「地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画制度等に関する検討会」を立ち上げ、これまで2回の会合を開いてきた。検討会では、地域脱炭素化促進事業制度の改善を図るため、市町村の負担軽減や市町村・事業者への支援策、地域脱炭素化促進事業制度における国・都道府県・市町村・事業者などの役割分担、連携強化を議論する。それに加えて、地方自治体による地域脱炭素施策の策定・実行の促進や地方自治体による地域脱炭素施策の見える化についても話し合う。

5月26日に開催された第2回会合では、北海道せたな町と岩手県宮古市、神奈川県小田原市、熊本県の事例が発表された。さらに、日本自然保護協会からは「地域脱炭素促進区域の設定と環境保全の取り組みへの提案」、世界自然保護基金(WWFジャパン)からは「地域共生型再エネの推進についての意見」が提出された。

このうち、北海道せたな町からは、ゾーニング事業を実施するに至った経緯・背景やゾーニングの手順、取りまとめ結果が報告された。そのうえで、市町村の負担軽減策として補助事業の拡充や事業年度制約の軽減、市町村への支援策として促進区域での事業化に向けた町のフォローに対する支援の拡充、事業者への支援策として事業実施にあたり、売電価格が少し上がるなどの事業性上の優遇措置や方法書や準備書の簡素化などの要望が出された。

第3回の会合は、6月30日(金)の午後2時から開かれ、民間事業者などへのヒアリングが行われる。具体的な要望を聞いたうえで、事業者への支援策のあり方や国・自治体との役割分担などについて議論する。環境省は、今年の夏ごろをめどに意見集約する方針。検討会のもようは、インターネットでライブ配信される。

DATA

環境省ホームページ


取材・文/高橋健一

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