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AI・データセンターのRUTILEAが蓄電所に参入。HUAWEIの蓄電システムが選ばれた理由とは?

データセンターを所有・運営するAI開発プラットフォーマー「RUTILEA」が、蓄電所ビジネスに参入する。同社が系統用蓄電池として選んだのは、HUAWEIの大規模産業用蓄電システムだ。新規参入の狙いとHUAWEI製品採用の理由を、代表取締役CEOの矢野貴文氏に聞いた。

 

<目次>
1.再エネ導入と安定供給に向け 重要度を増す系統用蓄電池
2.蓄電池導入のきっかけは データセンターの電力調達
3.AI技術と運用実績を活かして 蓄電所ビジネスに参入
4.厳しい性能要件に応えた ファーウェイの蓄電システム
5.新たな価値の創造に向けて パートナーシップを強化

 

再エネ導入と安定供給に向け
重要度を増す系統用蓄電池

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、出力変動を平準化する社会インフラとして、系統用蓄電池(蓄電所)の重要性が高まっている。系統用蓄電池は、系統(送配電網)に直接接続され、電力システム全体の需給変動に対応するものであり、電力の安定供給に向けても果たすべき役割は大きい。

国も系統用蓄電池の導入支援や各種電力市場の整備を進めており、系統用蓄電池をめぐるビジネス環境は着実に整いつつある。こうした状況にあって、蓄電所ビジネスに新規参入する企業が急増しており、新たなビジネスモデルを模索する動きも広がっている。

蓄電池導入のきっかけは
データセンターの電力調達

このほど、ファーウェイの大規模産業用蓄電システムによる蓄電所構築を表明したRUTILEAは、AI開発プラットフォームとGPUクラウドサービスのフロントランナーだ。「AIを簡単に」をミッションに、自前のデータセンターを運用し、国内外の最先端ニーズに応えてきた。そんなRUTILEAが、なぜ蓄電所ビジネスに参入するのかーー代表取締役CEOの矢野貴文氏は次のように話す。

「実は、初めから蓄電所を構築しようと考えていたわけではないのです。もともとは、自社データセンターで使用する電力の価格を安定させるために、蓄電池の導入を検討していました。基本的にデータセンターで使う電力は市場で買い付けているのですが、電力はボラティリティが大きいので、その価格変動リスクを低減することが目的でした」

それは、市場価格の安いときに電力を調達し、蓄電池に蓄電して、コスト変動を抑えた効率的なエネルギーマネジメントを図ろうという発想だ。しかし、矢野氏はここから一歩進み、「蓄電池の運用に自社のAI技術を活用することで、新たなビジネス機会を創出することができる」と考えたのだという。
 


 

AI技術と運用実績を活かして
蓄電所ビジネスに参入

「様々なシミュレーションを重ねていくなかで、自社のデータセンターで使うだけでなく、より広く運用していくことで、収益性の高いビジネスモデルを構築できると分かってきました。具体的には、多数の大規模産業用蓄電池を複数の場所に設置し、それらを連携した蓄電所をつくり、当社がアグリゲーターとしての役割も果たすというかたちです。そして、このアグリゲーターとしての仕事に、我々のAI技術と、データセンターの電力運用で培ったノウハウが活かせると考えました」

蓄電所ビジネスにおける収益戦略には、需給調整市場での調整力取引をはじめ、容量市場での供給力取引、卸電力市場(JEPX)でのアービトラージなどがある。加えて、調整力と供給力をあわせて取引する同時市場の導入も検討されており、アグリゲーターには、電力の効率的な管理と最適な市場運用に向けた、より高度なIT技術が求められている。RUTILEAのAIと電力運用ノウハウは、まさに、これからのアグリゲーターに期待される能力そのものともいえるだろう。
 


 

厳しい性能要件に応えた
ファーウェイの蓄電システム

一方で、矢野氏が蓄電池に要求する性能は、極めてハイレベルだ。それは、RUTILEAが運用する需給調整システムや市場取引システムなどに、十全に対応するものでなければならない。今回、同社の基準をクリアし、採用されることになったのは、ファーウェイの大規模産業用蓄電システム。矢野氏は、同システムを選んだ最大の理由として、機能性・信頼性の高さと優れた対応力を挙げる。

「需給調整市場では、迅速な充放電が可能であることや安定した出力を提供できること、リモート制御やモニタリングが可能なシステムであることも重要になってきます。その点でも、ファーウェイの蓄電システムなら問題ありません。また、エンジニアチームのレベルが高く、動きも早いので、予期せぬトラブルを免れ得ない新市場においても、柔軟に対応していけると判断しました」

さらに、同蓄電システムには、内部短絡・火災リスクの検出機能や消火装置も搭載されており、安全性の高さも業界トップクラス。バッテリーパックごとの分散制御のおかげで、高稼働率運転が可能であり、故障リスクが分散されるところなども、高く評価したポイントだという。

RUTILEAの蓄電所に導入される
HUAWEIの大規模産業用蓄電システム

LUNA2000-2.0MWH-2H1

● 優れた充放電性能
● 初期投資の最適化
● シンプルなO&M
● 高安全性・高信頼性


バッテリーパック

LUNA2000-2.0MWH-2H1は、コンテナ内に126台のバッテリーパックを搭載。バッテリーパック単位で最適化を図り、分散制御を実現する。


スマート蓄電池用PCS
LUNA2000-100KTL-NHH1


● 最大変換効率98.5%
● 複数台の並列運転
● ワイド入力電圧対応
● 完全密閉設計
● DC&AC SPD保護
● 自立運転対応
 

 

新たな価値の創造に向けて
パートナーシップを強化

今後、RUTILEAは、従来のビジネスに加えてアグリゲーターとして、AIを活用した市場監視や自動取引、デマンドレスポンスやエネルギーリソースの運用支援などを進めていくことになるだろう。「リスク管理をしっかりと行い、安定的にパフォーマンスを出していくというビジネスの基本は、蓄電所もデータセンターも一緒です。そして、それは私たちの技術だけで実現できるものではありません。ファーウェイの蓄電システムとの連携により、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献していければ幸いです」と矢野氏はいう。

RUTILEAのAI技術とファーウェイの高信頼システムとの融合が、どんな新しい価値を生み出していくのか、関心は高まるばかりだ。

問い合わせ


華為技術日本株式会社/ファーウェイ・ジャパン
東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエアウエストタワー12F
TEL:03-6266-8051

取材協力会社


株式会社RUTILEA
京都府京都市中京区下丸屋町397番地 Y.J.Kビル6F
TEL:075-746-2811

株式会社RUTILEA
代表取締役 CEO

矢野貴文氏


取材・文・写真:廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.53(2025年春号)より転載

Sponsored by ファーウェイ・ジャパン

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