再エネが主力電源に? カギは基盤構築とコスト削減
2018/07/02
新「エネルギー基本計画」で謳われた、再生可能エネルギーの"主力電源化"。実現へ向けて、どのような課題をクリアする必要があるのだろうか。経済産業省が掲げる、再エネ政策の方向性とは?
再エネ主力電源への道
再エネ政策全般の方向性については、「主力電源化」と、「大量導入を支える次世代電力ネットワークの構築」が2大テーマとなる。それぞれ発電コストと事業環境、系統制約と調整力が課題とされ、基本政策分科会において今後の対応が協議された(下図参照)。
再エネ製作の方向性(出典:経済産業省)
発電コストについては、国際水準を目指した徹底的なコストダウンを図る。具体的には、入札対象の拡大を進めとともに、技術開発の促進や、自立化を促す支援制度のあり方を検討する。
事業環境については、長期安定電源化と規制のリバランスを目的に、適正な事業実施と地域共生を具現化するための整備を行う。あわせてFIT終了案件の取り扱いや、再投資支援策などについても検討する。
系統制約については、「新・系統利用ルール」を設けて、その解消に努める。既存系統の効率的な利用を促す「日本版コネクト&マネージ」が、その柱となる見通しだ。
変動電源である再エネの導入拡大には調整力が必要とされるが、これについては当面、火力発電の出力調整で対応する。将来的には、競争力のある蓄電システムを開発するなど、調整力に関しても脱炭素化を図っていく。
再エネは脱炭素化の主役
再エネの課題解決に向けては、エネルギー情勢懇談会も、「調整力の脱火力依存に向けた高性能低価格の蓄電池や水素システムの開発、需給調整をより精緻に行うためのデジタル技術の開発、再生可能エネルギーの分布に応じた送電網の増強、分散ネットワークの開発といった本質的な課題の解決」が必要であると説く。
同時に「パリ協定が掲げる今世紀後半のネットゼロエミッションという目標に向け、価格低下が著しい再エネが脱炭素化の主力を担う」とも謳っている。
新しいエネルギー基本計画は、こうした提言内容をベースに仕上げられ、この夏に閣議決定される見通しだ。再エネが主力電源となる日も、そう遠くはない。
取材・文/廣町公則
『SOLAR JOURNAL』vol.25より転載