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太陽光パネル義務化を見据え メーカーの動きが活発化

東京都は11月18日、住宅など新築建物への太陽光パネル設置義務化に向けた事業者への支援策を発表した。300億円規模の関連予算案と条例改正案を12月の都議会定例会に提出し、制度の円滑な施行を目指す。国内の一部自治体が設置義務化を進めるなか、大手住宅メーカーが太陽光パネルを載せた住宅などを次々に発売している。

小池知事
「事業者を強力に後押し」

25年4月からの義務化を目指す東京都の条例改正案によると、一戸建ての太陽光パネル設置義務は住宅メーカーが負う。都内で年間供給面積が2万平方メートル以上の約50社が対象で、都は新規着工住宅の9割を占めると見込む。日照などの立地条件や住宅の形状、供給棟数をもとに、それぞれのメーカーが達成すべき発電量を設定。不十分なメーカーの名前を公表する。

事業に積極的に取り組む住宅メーカーを支援するため、都は補正予算案に関連費用301億円を盛り込む。このうち、太陽光パネルを設置した住宅の商品開発や施工の技術向上に向けた取り組みを助成する事業に163億円を計上。義務化に対応した住宅の開発や設計に必要な費用の2分の1を助成する。リースや電力販売とのセットなどにより、初期費用を無償にして太陽光発電設備を設置する事業者に対する助成も実施する。また、来年1月以降、都民やメーカー向けの電話相談窓口を設置するほか、太陽光パネルの維持管理やメンテナンスに関する都民向けセミナーを開催する予定。

都は支援策を盛り込んだ補正予算案と条例改正案を12月の都議会定例会に提出する。条例案が可決されれば、2年間の周知期間を経て施行する予定で、25年4月からの義務化となる見通し。小池百合子知事は記者会見で「制度の準備に着手する事業者を強力に後押しする。都民に共感していただけるよう周知していきたい」と述べた。


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住友林業 
CO2収支をマイナスにする住宅を発売

太陽光パネルの設置を標準化したLCCM住宅(出典 住友林業)

住宅メーカー各社は、太陽光パネル設置義務化への対応を急いでいる。住友林業は今年4月、太陽光パネルの設置を標準化した「LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅」を発売した。LCCM住宅とは、建設・居住・解体時に二酸化炭素(CO2)削減に取り組むとともに、太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅のライフサイクル全体でCO2収支をマイナスにする住宅のこと。同社のLCCM住宅は、木造による原料調達から建設までのCO2排出量が少ないうえ、再生可能なバイオマス燃料を乾燥工程に活用した国産材を構造躯体に採用することで、より多くのCO2を削減できる。また、同社独自のBF(ビッグフレーム)構法により将来の間取り変更にも柔軟に対応可能で、建設、改修、解体時トータルでCO2排出量を抑えるとしている。

初期費用が
設置工事費のみのサービスも

ずっともソーラー(フラットプラン)の仕組み(出典 東京ガス)

東京ガスとオープンハウスグループは今年4月、初期費用が設置工事費のみで太陽光発電システムを導入できるサービス「ずっともソーラー(フラットプラン)」の提供を開始した。太陽光発電システムの設置にかかる費用はメーカーや工事業者、設置場所によって大きく異なる。経済産業省のデータによると、機器代や工事費などの設置費用の合計は、21年が1キロワットあたり平均28.0万円(新築の場合)となっている。住宅用の太陽光パネルの容量は3~5キロワットが多いことから、設置費用の相場は21年の場合、84万~140万円となる。建設資材が高騰していることから、22年以降は設置費用がじりじりと値上がりしていて、太陽光パネルの普及を進めるうえで大きな課題となっている。

「ずっともソーラー(フラットプラン)」は、東京ガスが考案したサービス。オープンハウスグループの新築戸建て注文住宅の太陽光発電サービスとして初めて採用された。両社の「ずっともソーラー(フラットプラン)」は、太陽光発電の機器代が無料。設置工事費のみで新築戸建て住宅に太陽光発電設備を導入できる。家庭で利用されずに余った電気は電力会社に売電されるが、10年間の契約期間中は売電により得られる収入が東京ガスに譲渡される。10年間の契約終了後は、売電収入が住宅所有者のものになる。

国内では川崎市が東京都と同様の制度を目指し、今年7月に素案をまとめた。京都府は今年4月、延べ床面積300~2000平方メートルの新築建物への太陽光パネル設置を義務付ける条例を施行した。パネル設置義務は、主にマンションを対象としている。群馬県は今年3月、一定以上の規模の建物を新築、増改築する際に、太陽光発電など再生可能エネルギー設備の設置を義務付ける条例を制定した。対象は延べ床面積が2千平方メートル以上の建築物で、工場や事業所などを想定。義務規定は1年間の周知期間を経て、23年4月から施行される。30年の温室効果ガス削減目標達成に向け、国内の一部自治体で太陽光パネルの設置義務化が進むなか、今後は住宅メーカーの動きも活発になりそうだ。


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取材・文/高橋健一

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