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早期リパワリングが低圧ソーラーのポテンシャルを引き出す

限られたFIT期間で最大の収益を生み出すには、発電量をいかに向上させるかが重要だ。パワコンは発電量のカギを握る重要な役割であるだけに、できるだけ早期の更新がリパワリングのコツだ。今回は、リパワリングに成功した2社の事例を参考に、低圧野立ての太陽光発電所におけるリパワリングの効果について考える。

発電停止時間はわずか2時間
前年比25%もの発電量アップ

兵庫県の株式会社Actyカナイは、2017年に低圧49.5kWの太陽光発電所を運転開始した。1年目の発電量は6万kWhだったが、2年目には5.4万kWhと、わずか1年で10%も低下。このままでは、32円/kWhの売電単価がかえって大きな損失につながるため、ソーラーエッジ製品を採用した早期のリパワリングを決断した。年間1万kWhの発電量アップが実現できれば、残されたFIT期間の17年間で540万円の収益改善につながり、投資コストの回収も可能となる。


場所:兵庫県三木市
サイト発電開始日(旧パワーコンディショナ) : 2017年2月28日
設置規模: 49.5kwAC
売電単価:32円
パネル:ウィンアイコ275W x 274枚(75.35kwDC)
当初のパワーコンディショナ:日本製三相 9.9kW x 5台
リパワリング日: 2020年8月4日
リパワリング後のパワーコンディショナ:ソーラーエッジ三相SE25K x 2台

リパワリングに際して、発電を止めた時間はたったの2時間だった。作業を2つのステップに分けることで、ダウンタイムを最小に抑え、発電ロスを最小化した。まず、稼働中にソーラーエッジのパワーオプティマイザやパワコンを予め設置して配線も済ませておき、次にモジュールとパワーオプティマイザ間の繋ぎこみ作業時のみ発電を停止するというスムーズなステップだ。

早期のリパワリングに踏み切ったことで、発電量は前年比で月平均25%も向上した。リパワリングした同社の発電所としていない発電所の発電量を比較すると、下表の通りだ。

(出典:Solar Edge)

25%の発電量のアップによって、年間43万2000円の売電収入が増加。FIT買取の残期間である17年に換算すると734万4000円の増収に相当し、大幅なROIの改善につながった。しかも、ソーラーエッジのパワコンには20年間の保証が付帯されているため、残りのFIT期間もしっかりと保証を受けることができる。

リパワリング後、ソーラーエッジのモニタリングプラットフォームを通じて発電状況が見えるようになった。上の図は、モニタリングのレイアウト画面で、それぞれの四角がモジュールを表している。黒く見えるモジュールに影がかかり、発電が下がっていることが一目で確認できる。しかし、ソーラーエッジのモジュールレベルパワーエレクトロニクスによって、影の影響がストリング全体には及んでいないことがわかる。

発電量の低下という課題を克服
O&Mコストの削減にも成功

続いて、山梨県の株式会社Mr.Dreamのケースを紹介する。同社は、低圧の野立て太陽光発電所50.88kWを運営している。しかし、発電所の建設後に建てられた別の発電所の連系柱によって影が発生したり、4年間で草木が成長しミスマッチが増大したりと、発電量の減少が運営の課題となっていた。


所在地:山梨県
設置規模: 50.88kWDC
パネル:ジンコソーラー JKM265-J × 192枚
リパワリング日: 2019年9月
リパワリング後のパワーコンディショナ:ソーラーエッジSE5500H-JP x 8台
パワーオプティマイザ:ソーラーエッジ P600×96基

発電量が落ちる大きな原因のひとつとして、モジュール自体の劣化が挙げられる。1枚1枚のモジュールの劣化速度が異なるため、結果的にミスマッチの増大につながってしまうのだ。一般的なストリングパワーコンディショナでは、ミスマッチによる発電量の低下がストリング全体の低下に直結する。

そこで、Mr.DreamはソーラーエッジのHD-Wave技術搭載単相パワーコンディショナによるリパワリングに取り組んだ。このパワコンの変換効率は99%を誇り、4~5年前に一般的だった94~95%を大きく凌ぐ。リパワリングの結果、発電量は10%以上も増加した。

下図にリパワリング前の2016~2018年とリパワリング後の2019年の同月の発電量の比較を示す。

サイトAとサイトBは互いに隣接した低圧発電所。下図は、サイトAとサイトBの4年間の発電(10月〜12月のみ)を比較したもの。

(出典:Solar Edge)

さらにこのサイトでは、O&Mコストの削減にも成功した。モジュールレベルでのモニタリングプラットフォームを導入したことで、パフォーマンスを可視化できるようになった。また、遠隔でのトラブルシューティングも可能になり、トラブル対応が迅速になった。

課題は発電ポテンシャルの発揮
早期のリパワリングが奏功

この2つの事例から得られる教訓は多い。というのも、日本の発電所の多くは同様な課題を抱えているからだ。周辺環境や設備の状況によっては、最適な発電量を得られていない場合もある。

原因のひとつには、影や製造工程の公差などによるモジュールのミスマッチロスがある。また、発電所建設当時のパワコンの変換効率が低かったことも挙げられる。太陽光発電分野の技術はこの数年で飛躍的に進歩している。変換効率の高いパワコンに更新すれば発電量がアップし、リプレースに要する投資回収も可能になる。

2社のケースでは、早期のリパワリングが功を奏したことも示されている。早めの機器更新で、より長期にわたる発電量の底上げが可能となるからだ。また、発電所の建設時に設置されたパワコンの保証期間は10年間がほとんどだ。新しい機器の保証期間で残りのFIT期間をカバーできれば、保証期間切れの心配もクリアできる。

FIT制度の開始から間もなく10年の節目を迎える今、設備のリプレースを検討している事業者は多いだろう。残されたFIT期間を有効に活用するためにも、新型パワコンへの早期リパワリングをおすすめしたい。

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