千葉商科大、みんな電力P2Pサービスで自然エネ100%大学へ
2019/08/28
7月31日、千葉商科大学はみんな電力株式会社を通じて、同学市川キャンパスで使用する電力を、8月以降順次再エネ由来の電力へ切り替えると発表した。同学が千葉県の野田市に所有するメガソーラーのFIT電気を中心に、日本初の「自然エネルギー100%大学」を目指す。
みんな電力「ENECTION2.0」
P2P電力トレーサビリティ
千葉商科大は、千葉県野田市に2.45MWのメガソーラー野田発電所を所有している。ここで発電されたFIT電気は、みんな電力によって千葉商科大に特定卸供給される。
特定卸供給とは、あらかじめ特定された発電者と小売電気事業者との間で卸供給をすることを承諾し、一般送配電事業者の送配電網を介し卸供給することだ。ここでは、野田発電所がみんな電力と卸供給契約を結び、東京電力パワーグリッドによる送配電網を通じて電気を供給している。
一般の送配電網を介すると、野田発電所で発電された電気は他の発電所由来の電気と混じりあうこととなる。つまり、野田発電所由来という属性は、送配電網に入った時点で消えてしまう。
この問題を解消するのが、みんな電力のブロックチェーンP2P電力トレーサビリティシステム「ENECTION2.0」だ。このシステムによって30分単位で供給電源のトラッキングができるようになり、野田発電所からの電気を市川キャンパスに届けることができる。
手の届く「RE100」へ
大学として日本初の挑戦
「エネルギー・イノベーション・ベンチャー」をモットーとするみんな電力は、2018年12月にブロックチェーンによる電力トレーサビリティを商用化したと発表している。
この独自のブロックチェーンP2P電力取引システムは「ENECTION2.0」といい、バランシンググループ内での発電量と需要量を30分ごとに個々にマッチングし、取引として約定させることができる。約定結果はパブリックブロックチェーン上に記録されるため、「どの電源からどれだけ電気を買ったか」というトレーサビリティの証明が可能だ。特に再生可能エネルギーの発電所を特定することで、みんな電力は「RE100」を低コストで実現することを目指している。
今回の発表により、千葉商科大側もより持続可能な発展に貢献する大学であることをアピールできる。同学は、2017年11月、野田発電所を中心とした同学所有の太陽光発電設備での発電量と、大学の消費エネルギーの総量を同量にするという環境目標を宣言しており、2019年1月には発電量が消費電力量を上回り、電力生産での 100%を達成している。
本取組もSDGsの17の目標のうちの12番目「つくる責任つかう責任」に当たるとしており、日本初の「自然エネルギー100%大学」に向けた確かな一歩となる。
DATA
文/山下幸恵