BMWもEV参入! 車業界もエネルギーシフト本格化
2017/05/31
再エネの過去、現在、そして未来をエネルギージャーナリスト・北村和也氏が読み解く人気コラム。 今回は「EVがもたらす社会の変化」に迫る。
急激なEVシフト
『交通革命』がじわりと迫ってきている。昨年後半あたりから、世界のエネルギー関係のニュースにEV(電気自動車)が登場る回数が飛躍的に増えた。例えばドイツでは、充電ステーションの増加や政府によるEV購入への補助金、また、EVの電源を再エネで行う地域プロジェクトなど多種多様である。
無料の高速道路アウトバーンを抱える車大国のドイツでは、走行距離が短いEVは人気が出ず売れ行きは芳しくなかった。しかし、ここに来て火が付いたように売れ始めている。ドイツメーカーも及び腰で日本の三菱や日産のEVがドイツ内シェアトップを争っていたが、昨年10月についにBMWの一車種が販売一位に輝いた。
ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスは、2040年には新車の3台に1台はEVになると予測している。そんな先を待たずに、ノルウェーでは1月の新車販売でガソリン車とディーゼル車の合計が50%を下回った。PHEVとEVの合計は37.5%と未来を先取りしている。
おまけだが、つい先日EVメーカーの先頭を走るアメリカのテスラモータースが、時価総額でフォードと日産を越えたとの情報が世界に流れた。
EV急拡大の意味
最終的に社会で使われるエネルギーの形は大きく分けて3つあり、日本の場合で、電気が25%前後、熱が40%〜50%、そして、交通手段が全体の3分の1程度である。
近年、電気は大きく再エネにシフトし、熱も着実に再エネ化が進んでいる。一番変化が遅いとされていた交通分野だが、EVへのシフトは、に車の種類の変更ではなく、交通エネルギーがガソリンから電気へと大転換することに他ならない。再エネ電力の拡大と重ね合わせると、交通を『再エネ電力=地域での自給』で賄うことが視野に入った。
つまり、電気、熱、交通とすべてのエネルギーを地産地消することが夢でなくなり、地域経済を疲弊させる大きな原因のエネルギー費流出を完全に防ぐ手段を地域が手にすることにつながる。