「破局的変化」に直面している日本の電力

「今後、再生可能エネルギー導入量はどうなるのか。そうしたシナリオやビジョンを提示する時代はすでに終わりました。各国でも特に太陽光と風力の急速な普及を見誤り大外れしています。」破局的変化に直面している日本の電力について、飯田哲也さんに伺った。

風力も太陽光も
指数関数的に拡大

今後、再生可能エネルギー導入量はどうなるのか。そうしたシナリオやビジョンを提示する時代はすでに終わりました。各国の保守的な機関が予測するケースが多いですが、牧歌的な時代の経済を想定しているため、各国でも特に太陽光と風力の急速な普及を見誤り大外れしています。

背景には、太陽光や風力の導入コストが予測を超えるスピードで安くなったことがありますが、実は相対的に高かった時代ですら伸び方は指数関数的でした。

たとえば風力発電量は、世界の電力供給量に占める割合が0.01%を超えたのが1988年でしたが、10年後の1998年には0.1%、2008年には1%に到達しました。わずか20年間で100倍になったのです。2015年には5%に到達しており、2018年には10%の勢い、つまり30年間で1000倍になるペースで普及しました。

占める割合が0.01%を超えたのが2002年でしたが、2009年には0.1%、2015年には1%に到達し、わずか13年間で100倍となり、風力を上回るスピードです。2022年には10%に到達する勢いです。このペースなら2028年には100%になりますが、もちろんそれはジョークです。ただ、2030年までには数十%は賄える勢いで増えているのは間違いないのです。

石油産業も自動車産業も
10年以内に破局的変化

こうした予測をはるかに上回る普及は、従来のエネルギーでは生じたことがなく、既存の電力産業は”破局的変化”が生じつつあります。

同様のことが自動車産業でも起こるでしょう。今後は「電気自動車(EV)+自動運転+シェアリングエコノミー」が急速に進むためです。今年7月にテスラが、30分で充電し、3万マイル走り、3万5000ドルで買える「モデル3」を発表しましたが、2年以内にほとんどのEVが同等以上の性能で2万ドル以下に下がります。同時に自動運転とカーシェアが進めば、そもそもクルマを持つ必要さえなくなり、8年以内に化石燃料車を買う人はいなくなるという予測さえあります。

フランスでは、2040年にガソリンディーゼル車を廃止する計画ですが、これははるか遠い未来を予測するようなのんびりした話ではなく、自動車産業と石油産業に”破局的変化”が10年以内に起きざるを得ない状況を示しているのです。

同じような破局的変化に直面しているのが、日本の既存の電力会社です。蓄電池も安くなれば、電力会社と契約しなくても生活電力を賄えるというのは「ヒッピーの夢」ではなくなりました。巨大独占電力会社モデルは”破局的変化”の影響を正面から受けざるを得ないのです。しかし、日本はいまだに”重要なベースロード電源”なるガラパゴスを掲げてエネルギー基本計画を作っています。これは、21世紀の世界において天動説を信じるような時代錯誤なのです。

飯田哲也

認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP) 所長

自然エネルギー政策の革新と実践で国際的な第一人者。持続可能なエネルギー政策の実現を目的とする、政府や産業界から独立した非営利の環境エネルギー政策研究所所長。
Twitterアカウント: @iidatetsunari


取材・文/大根田康介

SOLAR JOURNAL vol.22(2017年夏号)より転載

 

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