再エネ導入拡大に向け、「系統制約」の解消を!
2017/12/22
再エネの導入拡大を、電力系統のキャパシティが阻んでいる。送電線の空き容量が不足しているというのだ。この問題の解決に向けて、太陽光発電協会が声を上げた。
系統の空き容量は、適正に判断されているか?
固定価格買取制度(FIT)がスタートした2012年以降、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの普及は急速に進んできた。しかし、既存の電力系統では、その容量が再エネの導入拡大に追い付かず、「新規の再エネ電源を受け入れる余地がない」とされる地域も生まれている。こうした状況を踏まえ、太陽光発電産業の業界団体である太陽光発電協会(JPEA)が、「系統制約の解消」に向けた試案を発表した。
電力系統の容量に関する制約は、次の2つに分類される。
①ローカル系統の制約:局所的な送配電線の容量が不足するために系統接続が制限される。
②エリア全体(各一般送配電事業者の管轄する供給区域)の系統制約:需給バランス維持のために再エネの出力が抑制される。
特に①のローカル系統の制約については深刻度を増しており、系統増強工事の費用負担に加え、その工事が完了しなければ系統に接続できないという地域が全国各地に拡がっている。しかし、ここには政策的・制度的な問題も少なくない。1年のほとんどの期間において系統に十分な空きがあったとしても、たった1時間でも容量を超えることが想定される場合には、系統容量に空きがないとされ、新規電源の接続が制限されているのだ。
この問題に対し、JPEAが示した解決策は以下の通り──。
ローカル系統の制約解消に向けた取り組み
【短期的には】
・無駄な投資を避けて既存系統を最大限活用する「コネクト&マネージ」(後述)の考え方を取り入れ、その仕組みを一刻も早く導入する。
・コネクト&マネージの導入後においては、費用対便益の考えに基づき増強工事が系統制約解消の合理的手段であると判断される場合、原則として新規電源側が工事の費用を負担する現行ルールを見直し、一般負担※を原則とする方式に移行すべき。
※一般負担とは、いったん送配電事業者が負担し、後で託送料金の一部として電力需要家から回収する仕組み。
【長期的には】
・系統接続ならびに費用負担のルールは、既設電源の権益保護や流通設備(送配電網)のみのコスト最小化を目的とするのではなく、電源を含めた電力システム全体の費用対便益が国民にとって最大となるように導くものに替えていくべき。
・今後は、太陽光発電やEV、HP給湯器、蓄電池等の分散エネルギー資源を中心としてデジタル化と電化が進んだ分散型の電力システムに移行すると考えられ、将来を見据えたあるべき送配電ネットワークの形成を前提とした系統接続や費用負担のルール、仕組みに変えていくべき。