事業用太陽光発電、250~500kW規模の中型案件まで入札対象に
2018/11/12
現在、2,000kW以上の大規模案件を対象に実施されている「太陽光発電の入札制度」。経済産業省は、その範囲を広げ、250kWもしくは500kW以上の中規模案件まで入札の対象とする方針だ。
市場の競争原理促し
コストダウン加速
経済産業省の「調達価格等算定委員会」が11月8日に開催され、事業用太陽光発電の入札制度について議論された。
入札制度は、現在は2,000kW以上の大規模案件にのみ導入されている。市場の競争原理を促し、太陽光発電のコストダウンを加速する狙いがある。
今回の議論は、入札対象とする案件を現状の大規模案件から、中規模案件まで拡大することで、より一層のコストダウンを目指すというものだ。
そもそも事業用太陽光発電とは、10kW以上の案件のこと。これを規模別に分類し、件数ベースでFIT認定量・導入量を一覧にしたものが、以下の表だ。
出典:経済産業省
件数ベースで見ると、10~50kW未満の低圧案件が、累計の認定量・導入量ともに約95%と圧倒的多数を占めている。
一方、同様に規模別分類し、容量ベースで一覧にしたものが以下の表だ。
出典:経済産業省
容量ベースで見ると、累積認定量で250kW以上が68%、500kW以上が63%。累積導入量では、250kW以上が60%、500kW以上が53%となっている。
こうした現状や、海外の状況などを踏まえて、委員会では250kW以上の事業用太陽光発電を入札対象とする案が出された。仮に250kW以上を対象範囲とする場合、事業用太陽光全体のFIT認定容量・導入容量の6~7割程度の範囲がカバーされる。
また、業界団体からのヒアリングで「入札太陽範囲の拡大は段階的に行うべき」という指摘があったことを踏まえ、500kW以上を入札対象とする案も検討。その場合は、事業用太陽光の5~6割程度の範囲がカバーされることになる。
このように、中規模案件まで入札制度を拡大し、FITの買取価格を引き下げることで、再エネ賦課金による国民負担の軽減を目指すという。
ただし、懸念もある。現在は、2,000kW以上の大規模案件で入札制度が導入されているが、うまく機能しているとはいいがたいからだ。
大規模案件の入札は、これまでに2回実施されたが、いずれも実際の入札容量が募集容量を下回っている。また、直近の第2回入札では上限価格を非公表にしたため、すべての事業が上限価格を上回り、落札者ゼロという結果となった。
コストダウンを急ぎすぎると、多くの事業者が「もう太陽光発電は儲からない」と見切りをつけて撤退してしまい、再生可能エネルギーの普及にブレーキが掛かってしまう恐れがある。
今後、太陽光発電の入札制度はどのようにして運用されていくのか。ドイツなどでは、入札制度によってコストダウンが進んでいる、というデータが出ているが、日本でもその成功事例がそのまま当てはまるのだろうか。