竹チップのバイオマスボイラ販売へ! 竹害解決へ進むか?
2020/03/03
テス・エンジニアリングは1月27日、竹を燃料とする混焼バイオマス温水ボイラを販売すると発表した。新製品の名称は、「E-NE(イーネ)シリーズ」。木質バイオマスボイラ納入実績No.1の巴商会と、回転式ガス化旋回燃焼方式に秀でたエム・アイ・エスとの共同開発だ。
竹を燃料とするバイオマスボイラ
テス・エンジら3社の共同開発
テス・エンジニアリングは、巴商会、エム・アイ・エスと共同開発した、国産の竹チップ混焼バイオマス温水ボイラ「E-NE(イーネ)シリーズ」を販売開始した。新製品は、独自の回転式ガス化旋回燃焼方式バーナーを採用し、燃焼時のクリンカを抑制できる。クリンカとは、竹を燃焼させると灰が溶け融合して発生する塊だ。竹はカリウムを多く含むため、燃焼するとクリンカが発生し、これが燃焼の阻害や炉内の損傷の原因となる。
さらに、灰を炉の外に出す「灰出し」を全自動化することで省力化も図っている。粉状や固形の燃料にも対応でき、竹や木質チップ以外のバイオマス燃料も使用できる。パッケージ化により工期を短縮し、ボイラ法定検査や資格・免許も不要だ。
共同開発したエム・アイ・エスは、旋回式ガスが燃焼方式を得意としている。燃焼過程を2段に分けて燃焼させることで、すすや未燃物の発生が少なく、燃焼効率を向上させる技術を持つ。また、巴商会は木質バイオマスボイラの国内での納入実績が多く、木質チップに加え、ガスやオイルを燃料とするボイラの取扱いも豊富だ。
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放置竹林は土砂崩れの危険
課題は竹の消費、有効打となるか
竹は需要が年々減少し、適切な管理が行われない「放置竹林」が増えている。竹の根は横に広がり、地中深くには伸びないため、豪雨などが発生すると、他の樹木より土砂崩れにつながりやすい。こうした「竹害」を防ぐためには、定期的に伐採するなどの管理が必要だ。しかし、竹の商品化などには課題が多く、十分に活用されているとはいいがたい。
今回の竹チップ混焼バイオマス温水ボイラは、竹を燃料として利活用することで、放置竹林の課題を解決する手助けになる。テス・エンジニアリングは、プレスリリースにおいて「放置竹林に悩んでいる地域を中心にバイオマス熱利用を促し、エネルギー自給率の向上および再生可能エネルギーの普及を促進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献していきたい」としている。
DATA
文/山下幸恵(office SOTO)