日本発案の規格が“国際規格”に! 大型の定置用蓄電池で世界初
2020/05/27
大型蓄電システムは、海外での火災事故などが相次ぎ、安全性に関する国際基準が求められていた。4月、日本の提案した規格原案が認められ、世界初となる規格が発行されるというニュースが飛び込んできた。この吉報により、日本製蓄電システムの一層の普及が期待される。
定置用大型蓄電システムで世界初
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)と経済産業省は、5月7日、定置用大型蓄電システムの安全性に関し、世界初となる規格が発行されたと発表した。
これは、NITEが規格原案を策定し、日本が「蓄電池を使用した定置用大型蓄電システムの安全性」に関する提案を行ったもの。4月16日に、国際電気標準会議(IEC)から発行された世界初の規格だ。
この規格は、電気化学的技術を用いた化学蓄電池からなる、電力システムに接続する大型蓄電池システムに関する安全要求事項について規定している。設計から運用期間終了時の管理といった、全ライフサイクルに対して適用可能だ。
この規格を適用することによるメリットは、以下の通り考えられている。大型蓄電システムの普及環境の整備が一層進むこと。そして、国内で製造された蓄電システムが、海外の市場でより受け入れられる効果も期待される。
今後は国内JIS規格も整備へ
NITEとは、大型蓄電システムの国際標準化のほか、バイオテクノロジーや化学物質管理の分野においてリスク評価などを行う独立行政法人だ。今回の国際規格が発行されるに至った背景として、海外での定置用大型蓄電システムの火災事故などがある。
こうした背景もあり、NITEは2016年、大型蓄電システムの安全性等に関する試験評価業務を実施するため、世界最大規模の試験施設「NLAB」(National LABoratory for advanced energy storage technologies)を大阪南港咲洲コスモスクエア地区に整備した。また、同年5月には、IEC技術専門委員会において、日本の提案による規格開発プロジェクトを開始していた。
今後は、国内の認証機関が、この規格に基づき、世界に通用する試験成績表の発行を予定している。日本産業規格であるJIS規格の原案作成にも取り組むという。
DATA
独立行政法人製品評価技術基盤機構
経済産業省 プレスリリース
文:山下幸恵(office SOTO)