関電ほか4社が「長期安定電源ファンド」始動、競争力高い再エネを目指す
2020/08/25
再生可能エネルギーの拡大を目指し、新しいファンドが稼働する。リニューアブル・ジャパンや関西電力など、業種の垣根を超えた連携だ。目標総資産4,000億円を掲げ、競争力の高い太陽光発電所の開発・運営を目指す。
4社の「長期安定電源ファンド」
競争力高い再エネの拡大目指す
リニューアブル・ジャパン株式会社、東急不動産株式会社、ENEOS株式会社、関西電力株式会社の4社が、今年3月に「合同会社長期安定電源ファンド」を設立した。目的は、再生可能エネルギー発電所の開発と運営。各社1億円、合計4億円の出資が6月30日に完了した。目標総資産は4,000億円で、国内の太陽光発電所がメインの投資対象だ。
投資対象の発電所へは長期安定電源ファンドからの出資に加え、4社も個別に出資する。各社の知見を活かし、発電所の開発や運営を効率的に進める。ファンドが長期にわたり運営を支えることで、競争力の高い再生可能エネルギーの拡大を目指す。
背景には、FIT(固定価格買取)制度の抜本的な見直しがある。6月にはFIT法の改正が参議院で可決され、2022年度からの施行が予定されている。新しい制度では、大規模事業用太陽光発電と風力発電が競争電源と位置づけられた。競争電源は、FIT制度からの独立を念頭に、買取価格が変動するFIP(フィード・イン・プレミアム)制度へ移行。長期安定電源ファンドは、新たな制度下でも勝ち残る競争電源を下支えする。
再エネニーズの高まりが
異業種のタッグを加速
リニューアブル・ジャパン株式会社は、2017年8月に東急不動産株式会社と再生可能エネルギー事業領域で資本業務提携を締結。2019年4月には、陸上・洋上風力やバイオマス発電事業などにも力を入れることで提携を強化した。
この2社は12月に、当時のJXTGエネルギー株式会社(2020年6月、ENEOS株式会社に社名変更)、東京ガス株式会社、オリックス株式会社と「一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会」を発足した。再生可能エネルギーの課題を解決しながら、一層の普及に向けて取組みを進めている。(参照:『東京ガスら5社業界団体創設、再エネの主力電源化に向け存在感高める』)
再生可能エネルギー電力100%による事業運営を目指す「RE100」の参加企業も増加の一途をたどり、国内の再生可能エネルギーのニーズは高まりが予想される。既存の業種にとらわれない多様な枠組みが、再生可能エネルギーの主力電源化を力強く推し進める。
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)