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容量市場の第1回メインオークション、結果発表が9月下旬に延期

今年、開設されたばかりの容量市場。入札参加者の待ちわびた結果発表が、約1か月先延ばしとなった。理由は「入札内容の分析・評価を継続して行う必要があるため」だ。効率的かつ持続的に供給を確保する目的の容量市場だが、波乱含みのスタートとなりそうだ。

延期後の発表は9月下旬

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は8月31日、容量市場の初めての入札結果発表を延期すると発表した。延期後の発表は9月下旬の見込み。7月1日から7日に初回のメインオークションの応札が受け付けされ、本来なら8月末までに結果が発表される予定だった。

容量市場とは将来の供給力、つまり“発電する能力”を取り引きするための場。4年後の供給力を入札で確保する仕組みだ。4年度の発電能力をあらかじめ確保する理由には、新たな発電所への投資を促す意図がある。大規模な発電所の建設には約10年もの期間が必要とされる。発電所が完成したときに備えて電気の売り先を前もって決めておけば、収支の見込みが立てやすく投資しやすい案件となる。投資家に対して収支の予見性を高め投資を促すことが、容量市場の目的のひとつだ。

供給力は全体の約86%
「市場支配的事業者」に懸念

容量市場における大きな懸念点は「市場支配的事業者」の動向だろう。「市場支配的事業者」とは、容量市場で大きなシェアを持つために、売り惜しみや価格のつり上げといった悪影響を及ぼしうる発電事業者を指す。初めての入札となる2020年度では暫定的に、旧一般電気事業者(沖縄電力を除く)、株式会社JERA、電源開発株式会社(J-POWER)が市場支配的事業者に特定された。これらの事業者の供給力を合わせると、全体の実に約86%を占める。

市場への悪影響を防ぐため、これらの事業者はOCCTOから監視される。また「正当な理由」がない限り、容量市場への参加が求められることになっている。「正当な理由」としては、計画停止や休廃止などがあり稼働見通しが不透明な場合や、入札の対象外であるFIT制度に認定される予定があるケースが例示された。

8月末にアナウンスされた入札結果発表の延期については、まだ具体的な理由は明らかにされていない。新しく開設された制度だけに、9月下旬に予定された結果発表に注目したい。

DATA

電力広域的運営推進機関ホームページ


文:山下幸恵(office SOTO)

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