編集部からのお知らせ

政府が2兆円の基金創設で脱炭素技術支援へ。グリーン成長戦略も決定

「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、次々と計画を打ち出す菅内閣。成長戦略の実行計画では、水素や洋上風力発電を含むグリーン成長が柱に据えられた。脱炭素のための技術支援には、2兆円の基金を創設すると明言。過去に類を見ない巨額の支援策だ。

脱炭素の鍵は重点3分野
PV・カーボンリサイクル・水素

12月1日、菅内閣は第5回成長戦略会議において今後の成長戦略の実行計画を定めた。成長戦略会議とは、経済の持続的な成長を目指し、成長戦略の具体的な推進を目的としている。

成長戦略には「2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略」が盛り込まれた。脱炭素達成の鍵を握るのは、次世代型太陽光電池やカーボンリサイクル、水素といった革新的なイノベーションとされ、3つの重点分野が示された。(1)次世代蓄電池技術などの電化+電力のグリーン化 (2)熱・電力を脱炭素化するための水素大量供給・利用技術 (3)CO2固定・再利用――の3分野だ。

中でも、洋上風力発電は経済波及効果が大きいとして、2040年までに30GWの建設関連需要を創出するとされた。水素は「世界的に有望な、カーボンニュートラル時代の新たな資源」と位置づけられ、水素を造る装置・電気に変える装置・輸送する設備の3つにおいて「世界ナンバーワンにして、世界マーケットを獲得する」とされた。

世界の関連投資の呼び込み狙う
国内の環境意識の変革も急務

菅首相は、12月4日の記者会見において、2050年カーボンニュートラルを達成するための環境投資として「過去に例のない2兆円の基金を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後10年間、継続して支援」すると述べた。

大規模で低コストな水素製造装置や、再エネの普及に欠かせない蓄電池の低コスト化などに資金を投入する。排出されたCO2は、カーボンリサイクル技術を活用しプラスチックや燃料として再利用を図るという。また、自動車からのCO2排出量もゼロを目指すとされた。こうした政府の率先的な支援により国内の民間投資を後押しし、3,000兆円といわれる世界の環境関連の投資資金を国内に呼び込みたい考えだ。

今回の記者会見でも、菅首相は「環境対応は、もはや経済成長の制約ではありません」と強調した。これは2050年の脱炭素実現を宣言した所信表明演説でも言及されたフレーズだ。前例のない巨額の投資が、国内の環境意識の変革も牽引することが望まれる。(参考『菅首相、所信表明で「2050年に温室効果ガス排出ゼロ」を宣言』)

DATA

成長戦略会議
令和2年12月4日 菅内閣総理大臣記者会見


文:山下幸恵(office SOTO)

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 初回の長期脱炭素電源オークション、976.6万kW約定。蓄電池で厳しい競争
  2. 太陽光発電所 銅線ケーブルの盗難被害が相次ぐ 銅の価格上昇が背景に
  3. 宮城県、森林保全へ再エネ課税 4月1日に全国初の条例施行
  4. 太陽光パネルの増設・更新を促進! 2024年度にルール見直し
  5. 蓄電システムの導入で「リアルRE100」へ。自家消費とBCP対策の最適解を求めて...
  6. 太陽光発電、盗難保険金が急増 持続的な保険提供が困難になる可能性も
  7. 太陽光発電所の盗難被害が急増 外国人グループの犯行か
  8. 脱原発完遂のドイツの電源構成、どうなるエネルギー費の再高騰リスク?
  9. 最新春号の見ドコロ!「ソーラージャーナル」vol.49 4/30発行
  10. 【受付中】5/28(火) ケーブル盗難のリアルを知るための「太陽光のリスク管理」セミナー開催...
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.49 | ¥0
2024/04/30発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ