太陽光発電所の分割、非FITへも防止措置を拡大へ。背景に今夏の急増
2021/12/17
本来は高圧となる発電設備を柵や塀で区切り、低圧として接続申し込みを行う太陽光の分割。適正な電気保安が行われず、一般送配電事業者への負担が膨らむ点が問題視されている。FIT法では防止措置がとられているが、非FIT太陽光では今、分割が急増しているという。
特段の理由ない分割を認可せず
施行規則の見直しで対応の方向
太陽光発電所の分割とは、高圧の発電設備を柵や塀で区切り、それぞれの区切りごとに小規模な低圧発電設備として複数接続申し込みを行うことだ。
経済産業省が、非FIT太陽光の分割が急増していることを議題に挙げた。11月18日の電力・ガス基本政策小委員会では、2021年6月末には242件だった分割案件が、8月末には713件に増えたと報告された。
今後は、電気事業法の施行規則を見直して非FIT太陽光の分割を防ぐとみられる。特段の理由がなければ、柵や塀で分割された発電所でもひとつの発電設備とみなす規定に変更される予定だ。
分割案件が抱える2つの問題点
電気保安とコスト転嫁の不公平
高圧の太陽光発電設備を低圧に分割する問題点は、大きく2つある。1つは電気保安だ。高圧設備には電気主任技術者による維持・管理が義務付けられるが、低圧設備にはその義務がない。そのため、分割案件では、本来行われるべき電気保安が省略されてしまう。
もう1つは、一般送配電事業者の負担が増える点だ。高圧の受電設備を設置するのは事業主だが、低圧では一般送配電事業者が用意する。意図的な分割は、こうしたコストを一般送配電事業者に転嫁し、最終的には電気料金の値上がりにつながると問題視されている。
FIT制度では、分割が疑われる案件の審査が徐々に厳格化されてきた。2021年4月からは、10kW未満の地上設置型太陽光にも分割審査の対象を拡大している。(参考『低圧太陽光の分割審査、10kW未満の地上設置にも拡大へ。資源エネルギー庁が決定』)
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)