政策・制度

燃料高騰に立ち向かうコーポレートPPA その種類と特徴を徹底解説|電力支援廃止後に注力すべき3つの成長分野②

2027年度以降、太陽光業界が大きな転換期を迎えるなか、さらなる導入拡大に向けて、今後はどの分野に注力していくべきなのか。本記事では今後のビジネスを牽引する見逃せない3大アプローチの一つ、「コーポレートPPA」を解説。アメリカのイラン攻撃による燃料価格の高騰への打開案として、国産電源を長期固定価格で安定的に調達できるコーポレートPPAへの関心が高まっている。

 

<目次>
1.需要家ニーズに応える 再エネ調達手法
2.コーポレートPPAの 種類と特徴
3.PPA市場の見通しと 注目の市場動向

 

【全3回特集】FIT/FIP制度への今後のアプローチについて3回に分けて解説します。
 
第1回:2027年以降の電力ビジネスに必要な「FIP転+蓄電池」という考え方
第2回:燃料高騰に立ち向かうコーポレートPPA その種類と特徴を徹底解説
第3回:ペロブスカイトの社会実装に要注目   

需要家ニーズに応える
再エネ調達手法

 


【各種PPAの契約形態(出典:自然エネルギー財団)】

 
太陽光発電は、これまでの「支援依存型」から、「需要家主導型」へと移行していく。その中核を担う存在であり、ポストFIT太陽光の成長エンジンと期待されているのが、企業など需要家が再エネ電力を直接調達する「コーポレートPPA(Power Purchase Agreement)」だ。欧米ではすでに脱炭素経営の主要手法として定着しており、日本でも急速に導入件数が伸びている。

RE100やCDPなど国際的な環境イニシアティブでは、単に「再エネ由来」であるだけでなく、新設電源による「追加性」が重視されるようになっている。同じ再エネでも、既設電源ではなく、新設電源であることが高く評価される。その意味でも、コーポレートPPAには大きなポテンシャルがある。

グローバル企業においては、サプライチェーン全体でのCO2排出削減を求めるケースも多く、再エネ利用が取引条件になることも増えている。再エネ調達は「環境対策」ではなく、「競争力」の問題になりつつある。

加えて、アメリカのイラン攻撃による燃料価格の高騰が、電気料金の上昇となって表れようとしている。企業にとってPPAは、再エネ調達だけでなく、長期固定価格による電力コスト安定化策としても重要性を増している。

 

コーポレートPPAの
種類と特徴

 


【PPAサービスの国内市場(出典:富士経済)】

 
コーポレートPPAとは、発電事業者と需要家が長期契約を結び、需要家が再エネ電力や環境価値を調達するスキームだ。契約形態は大きく「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」に分かれる。

オンサイトPPAは、需要家の敷地内(オンサイト)の土地や屋根上に、発電事業者の負担で再エネ発電設備を建設・運用し、発電した電力と環境価値をその需要家が直接購入するもの。一方のオフサイトPPAは、発電事業者が特定の需要家用の再エネ発電設備を需要地とは異なる場所(オフサイト)に建設し、需要家はそこで発電した電力と環境価値を送配電網を介して調達する。

なお、オフサイトPPAには、需要家が環境価値だけを購入するスキームもあり、これを「バーチャルPPA」と呼ぶ。これに対し、電力と環境価値をセットで購入する通常のかたちを「フィジカルPPA」という。

 

PPA市場の見通しと
注目の市場動向

 
PPA市場は、すでに急成長フェーズに入っている。調査会社の富士経済によると、2025年度の国内太陽光発電PPA市場は、887億円規模となる。内訳は、オンサイトPPA(住宅向けを含む)が740億円、オフサイトPPAが147億円だ。

さらに2040年度には、市場全体が4282億円規模に成長すると予測されている。このときオンサイトPPAは2926億円、オフサイトPPAは1356億円にまで拡大する見通しだ。

オンサイトPPAについては、屋根設置太陽光への国の支援・誘導(左頁参照)に加え、新築物件への太陽光発電システム設置を義務づける地域も増え、補助金施策も導入を後押ししている。

オフサイトPPA(フィジカルPPA)は、2024年頃から案件増加が加速。需要家の敷地や建物に頼るオンサイトPPAだけでは再エネ導入に限りがあるため、中長期的な伸びしろは大きいと予想される。需要家がもつ遊休地の活用はもちろん、小規模な低圧案件を1つにまとめるバルク開発にも関心が注がれている。

また、太陽光と蓄電池をセットにしたPPAも普及してきており、オンサイト・オフサイトともにますますの発展が期待される。
 

【全3回特集】FIT/FIP制度への今後のアプローチについて3回に分けて解説します。
 
第1回:2027年以降の電力ビジネスに必要な「FIP転+蓄電池」という考え方
第2回:2027年こそコーポレートPPA その種類と特徴を徹底解説
第3回:ペロブスカイトの社会実装に要注目   

 

DATA

取材・文/廣町公則

【SOLAR JOURNAL vol.57】より転載



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