太陽光は住宅用市場へ 鍵はテスラ・パワーウォール2

FITに頼らない自産自消型電力への移行

しかし、問題は残る。電力会社による出力制御だ。従って、将来的にはFITに頼らない自産自消型への移行が必要になる。その成功の鍵は蓄電池のコスト削減。

最近、象徴的な出来事が起こった。テスラ(Tesla)とソーラーシティ(SolarCity)が合併したのだ(2016年11月)。どちらもテスラCEOのイーロン・マスク(ElonMusk)氏が創業に関わった会社。テスラはEVメーカーだが、蓄電池も手掛けている。一方、ソーラーシティは、太陽光発電システムの設置を行う会社だ。テスラは2015年に家庭用蓄電池「パワーウォール(PowerWall)」を発売。2016年10月には、その2代目「パワーウォール2」(容量14kWh、インバーター内蔵)を発表した。

テスラは、同時に屋根タイルと全く見分けがつかない家庭用太陽光発電パネル「ソーラールーフ」を発表。「パワーウォール2」との組み合わせにより発電した電力の自家消費、電力系統への売電、緊急時用のバックアップ電源としての使用などが可能になる。もちろん、EVを充電することもできる。

これから重要になるのは家庭用市場の再活性化

筆者が目指す2030年の太陽光発電累計導入量は100 GW(1億kW)。しかし、買取価格の低下の他、適地の減少、出力制御への懸念などのため、業務用の先行きが不透明になってきた。従って、今後は家庭用市場の重要性が高まる。マスク氏も家庭用を重視しており、「すべての化石燃料発電を太陽光発電で代替するために必要な面積のほとんどは屋根で賄える」とコメントしている。日本も「マスク革命」に負けてはいられない。

 


環境経営コンサルタント(元東京大学特任教授)
村沢義久氏

米コンサルティング会社や大手投資銀行などを経て、2005年より、東京大学特任教授として地球温暖化対策を
研究した後、2013年より現職。化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱し、低炭素社会の実現に注力。著
書に『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』など。Twitter@murasawa


※『SOLAR JOURNAL vol.20』より転載

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