編集部からのお知らせ

蓄電容量の劇的向上と大幅コストダウンが実現!?

NIMSにより開発された電解液で
問題を大きく改善

今回、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、これらの課題を同時に払拭する新たな電解液を開発した。
その電解液とは、支持塩として臭化リチウムと硝酸リチウムを含む混合電解液で、これによって充電電圧は約3.5V(正極過電圧は半分以下の0.6V)まで低下し、エネルギー効率は77%にまで大きく向上した。

リチウム空気電池の充放電サイクル特性 (a) 従来電解液、(b) 新電解液(出典:NIMS)

また負極側でも、リチウム金属のデンドライト発生が全く起こっていないことが確認できた。
これは、リチウム金属の表面が極薄の酸化リチウムの保護膜に覆われており、それを通して一様なリチウム金属の析出が起こっているためではないかと推測される。

サイクル試験後のリチウム金属負極の断面観察 (a) 従来電解液、(b) 新電解液(出典:NIMS)

この正負極両面での効果により、従来20回以下であった充放電サイクルの寿命は50回以上にまで大幅に向上し、副反応の量も1/10以下に減少していることが確認された。

NIMSの研究チームは今回の成果から『リチウム空気電池の最大の課題である「高い充電電圧」とリチウム金属負極の「デンドライト発生」の問題が、いずれも解決できるという見通しが得られた』と述べている。
今後は『メカニズムの詳細な理解を進めるとともに、電解液組成を含めた各種条件の最適化を図り、電気自動車や家庭用蓄電池に向けた大容量、長寿命なリチウム空気電池の早期実用化』に努めていくという。

「最大のボトルネック」であった2つの課題を克服し、性能を高めたリチウム空気電池が実用化されれば、リチウムイオン電池を超える蓄電容量の劇的な向上と、大幅なコストダウンが実現されるかもしれない。今後の研究に期待したい。

国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)

< 12

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 国内最大級の348台分ソーラーカーポート設置で電力自給率20%達成へ
  2. 第7次エネルギー基本計画を閣議決定 太陽光の比率を 23~29%程度に変更...
  3. 2025年度に日本市場300MWhの蓄電池調達 TAOKE ENERGYとCATL社が契約締結
  4. 放射冷却素材『SPACECOOL』で問題解決 熱トラブル停止「ゼロ」を達成した方法を初公開...
  5. 【参加受付中!】2025年4月22日(火)「第33回PVビジネスセミナー」
  6. AI技術を融合した「モジュール式蓄電システム」 高い安全性とコスト効率が強み...
  7. 【受付中】3/14(金) 盗難対策ウェビナー ~2025年最新情報と対策ノウハウ~
  8. 専門家に聞いた! 日本に「垂直ソーラー」が必要な理由とは?
  9. グリッドコードとは? 太陽光発電事業者も知っておくべき系統運用の新ルール...
  10. 伊藤忠商事とEnphase(エンフェーズ)が業務提携。米国トップのマイクロインバーターついに日本販売...
広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.52 | ¥0
2025/1/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ