JPEAが掲げる「2050年、200GW」はあくまで通過点?
2018/04/05
2018年、太陽光発電業界が取り組むべき課題とは? 産業界を代表して、太陽光発電協会(JPEA)の平野敦彦代表理事に聞いた。変化し続けるビジネス環境を、平野氏はどう読み解くのか。FIT依存の先にある、大いなる可能性を探る。【Part2】
エネルギー基本計画見直し
意欲的な再エネ導入目標を
いま国は、「エネルギー基本計画」 の見直しを検討していますが、再エネがエネルギーの主要な一翼を担うことは明らかです。いまこそ、22~24%程度(2030年度)という現状の枠に留まらない高いレベルの再エネ導入目標を掲げ、技術革新と需要創出に繋げていくことが必要ではないでしょうか。
とりわけ太陽光発電の主力電源化は、気候変動対策・エネルギーセキュリティ・経済性、加えて持続性の高い社会づくりの観点からも極めて重要です。しかし、太陽光だけの比率をみると、現行のエネルギーミックスでは7%(2030年度)にすぎません。
私たちの「JPEAPVOUTLOOK2050」が掲げる2050年・200GWは、比率でいうと18%に相当します。2030年でも11%です。国のエネルギーミックス(7%)より4%高い値ですが、これは決して無理な数字ではないのです。
太陽光は、分散型の発電システムです。集積型の発電所であれば、系統接続をしてFITで売電することが前提となりますが、太陽光は違います。分散型電源として自家消費をすることで、FITという国民負担(再エネ賦課金)に頼ることなく導入することも可能なのです。
自家消費であれば、系統制約の課題にも大きく貢献します。エネルギーが必要とされるところで発電する、地産地消モデルを構築することも容易です。グリッドパリティ以下の価格が視野に入ってきた現在、自家消費のメリットは大きくなるばかりです。
JPEAは、自家消費と系統接続を太陽光発電の両輪と考え、それぞれに最適なソリューションを追求しています。
主力電源を確かなものに
利用拡大に知恵をしぼる
かつて太陽光発電は、不安定電源とみなされてきました。しかし、いま政府は、太陽光発電を主力電源になるべきものと認めようとしています。それに携わる業界団体として、JPEAに課せられた使命も大きいと感じます。
FIT制度以降、太陽光発電の導入は進みましたが、本当の意味での利用拡大はまだまだこれからです。そこには、いろいろな知恵を入れていく必要もあるでしょう。
太陽光発電の主力電源化をより確かなものにしていけるよう、私たちJPEAは、加盟企業・団体の総力を結集して邁進してまいります。
DATA
一般社団法人 太陽光発電協会 代表理事
(ソーラーフロンティア株式会社 代表取締役社長)
平野 敦彦氏
1985年、昭和シェル石油株式会社入社。2009年、昭和シェルソーラー株式会社(現:ソーラーフロンティア株式会社)取締役就任、2014年より代表取締役社長。2017年6月、一般社団法人太陽光発電協会代表理事就任。
撮影/伊原正浩
取材・文/廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.24より転載