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運用額は2,500兆円以上! 世界で注目される「ESG投資」とは

今年7月、日本生命保険が、国内外の石炭火力発電事業への新規投融資を停止することを明らかにした。実は、すでに海外では同様の方針を示す金融機関が増えており、日本勢が追随している。こうした背景には、環境に配慮した企業に投資する「ESG投資」の世界的な流れがある。

欧米が中心となって
市場をけん引

ESG投資とは、下記のように「環境」「社会」「企業統治」に配慮している企業を重視、選別して行う投資だ。

ESG投資とは?

①環境、②社会、③企業統治に配慮する企業を重視、選別して行う投資のこと。

①Environment(環境)
● CO2排出削減
● 環境技術の開発
● 資源の確保
● 生物多様性の保全
● 水使用量の削減 など

②Social(社会)
● 女性社員の活躍
● 人材の多様性
● ワーク・ライフ・バランス
● 地域社会への貢献
● 人権の尊重 など

③Governance(企業統治)
● 法令の遵守
● 納税の透明性
● 情報公開
● リスクマネジメント
● 収賄や汚職の防止
● 女性の取締役 など

世界での運用額は2,500兆円以上!

※運用額はGSA調べ。金額の単位は10億ドル。ESG投資に関する資料を基に作成。


ESGという用語が知られるようになったのは、2006年のこと。国際連合のアナン事務総長(当時)が、機関投資家に対し、ESGを投資プロセスに組み入れる「責任投資原則」(PRI)を提唱したのがきっかけだ。

その当時は、環境や社会を意識した投資は財務的なリターンが低いといった否定的な見方が多かった。しかし、2008年のリーマン・ショック後に、資本市場で短期的な利益追求に対する批判が高まる。

PRIに署名する機関が増加し、今年6月時点で署名機関数は2006社、運用資産残高の総額は82兆ドル(約8900兆円超)に達した。

さらに2015年12月、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(パリ協定)が採択された。歴史上初めて、全ての国が、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減を約束した枠組みとして、世界の注目を集めた。

今後は日本でも
シェアが高まる予測

こうした背景から、ESG投資の運用総額は年々拡大している。世界のESG投資額を集計している国際団体のGlobal Sustainable Investment Alliance(GSIA)によれば、2014年時点で18兆2750億ドルだったのが、2016年時点では22兆8900億ドル(約2500兆円)まで増えた。中でも欧米が9割以上を占め、市場をけん引している。

日本は先進国の中では後塵を拝しているが、政府の後押しもあり、今後はさらにシェアが高まるだろう。


取材・文/大根田康介

SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載

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