九州電力が国内初の出力制御を実施! 「再エネの主力電源化」へ課題
2018/10/15
10月13~14日の2日連続で、九州電力が太陽光発電の出力制御に踏み切った。離島を除く広域での出力制御は、国内初。第5次エネルギー基本計画で明記された「再生可能エネルギーの主力電源化」へ向けて、大きな課題となる。
2日連続で太陽光を出力制御
電力需給のバランス取れず
ついに、日本で初となる「太陽光発電の出力制御」が実施された(離島を除く)。
10月13~14日の2日間、両日とも9~16時に、九州電力が出力制御を実施。13日は32万kW、14日は前日を上回る54万kWの太陽光発電が出力制御の対象となった。
13~14日は土日の週末で、工場をはじめとする大口需要家の多くが休日で停止。また、秋の過ごしやすい陽気で、冷暖房のニーズも少なかった。
その一方で、九州地方の天候は晴れで日射量が多く、太陽光の発電量が増加。そのため、電力の供給量が需要を大きく上回ることから、太陽光発電の出力制御に踏み切った。
九州は、日本の中でも日射量の多い地域で、太陽光発電の普及が進んでいる。5月には、太陽光の発電比率が一時的に80%を超えた。また10月1日には、九電管内だけでは電力需給のバランスを取りきれず、本州エリアの電力会社へ送電する「長周期高域周波数調整」を初めて実施していた。
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原発4基の稼働で
電力供給量が底上げ
出力の抑制を行う順番は、以下の図のように決められている。
出力の抑制等を行う順番(出典:九州電力)
太陽光・風力といった自然エネルギーは5番目に位置づけられている。一方、原子力発電は「長期固定電源」として、最後の7番目。今回、出力制御が行われた10月13~14日も、九電管内では4基が稼働していた。
原発が稼働することで、九電管内の電力供給量は底上げされている。今回の出力制御への影響は、決して小さくはない。
国は、7月に定めた第5次エネルギー基本計画の中で「再生可能エネルギーの主力電源化」を声高にうたっている。だが、せっかく増えた太陽光発電を生かしきれず、再エネの出力制御を実施せざるをえない現実に直面した。この状況を打破するためには、出力制御を行う順番の再検討をはじめとした各種運用ルールの見直しが求められる。