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九電が他電力会社へ協力要請! ついに九州から電力があふれ出した

電力広域的運営推進機関が10月1日、長周期広域周波数調整を初めて実施。九州電力からの要請で行ったもので、九電から他の電力会社へと送電し、需給のバランスをとった。いよいよ九電管内での出力制御の可能性が高まってきた。

他エリアの電力会社へ
送電して周波数調整

電力広域的運営推進機関が、10月1日、設立後初となる「長周期広域周波数調整」を実施したことを発表した。

長周期広域周波数調整とは、電力会社の下げ調整力が不足して(または不足するおそれがあって)供給過剰となった電力を、エリアを超えて他の電力会社へと送電し、複数の電力会社によって周波数を調整するというもの。9月30日に九州電力からの要請を受け、翌10月1日に初の実施となった。

具体的には、10月1日午前9時から午後2時30分、最大量112.5万kWを、エリア間を結ぶ「連系線」を通じて、主に西日本の電力会社へと送電した。今回対象となった電力会社は、九電を除くと以下の5つとなる。

●中部電力株式会社
●北陸電力株式会社
●関西電力株式会社
●中国電力株式会社
●四国電力株式会社

九州で発電された電力が、遠く北陸電力管内まで送電されたことになる。

太陽光発電をはじめとする自然エネルギー発電は、時間帯や天候によって発電量が大きく増減する。そのため電力会社は、火力の発電量を抑えたり、夜間に使用する揚水発電の水のくみ上げに余剰電力を回すなどして、電力需給のバランスを調整している。

今回の九州電力からの要請は、台風24号の影響によって、揚水発電所の一部が使えないおそれがあったためと見られている。

調整しきれない場合
いよいよ出力制御か

九州電力は、太陽光発電の導入量が多く、発電比率が高いことで知られる。5月には、一時的に80%を超えた(5月3日に81.33%を記録)。

また、原子力発電所の再稼働にも積極的で、現在は玄海3号機と4号機、川内1号機と2号機の合計4基が稼働している。電力の供給量は多い。

そのため、冷暖房の必要性が少なく電力需要の低下する秋には、需給のバランスが崩れるおそれがある。8月には、九電の池辺和弘社長が「秋にも電力の受給状況によって『出力制御』が必要になることもある」とコメントしている。

今回の長周期広域周波数調整は、いわば“九電管内から電力があふれた”状態。今回は、他の電力会社に受け入れる余力があったが、それにも頼ることができなくなったら、いよいよ出力制御が実施されることになりそうだ。

関連記事:太陽光の発電比率上昇、東北電力で初の5割超、九電では8割超も

 

DATA

電力広域的運営推進機関ホームページ

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