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大手企業が続々と電力シフト、いよいよ再エネが巨大マーケットに?

日本を代表する大手企業が、続々と「RE100」に賛同しはじめている。再エネの需要が増えることは、供給側にとって大きなビジネスチャンスだ。再エネを巡る情勢について、エネルギージャーナリスト・北村和也氏が読み解くコラム。

前記事:丸紅が石炭火力の権益を「2030年までに半減」と公表、その理由は?

ソニーも丸紅も
再エネへの急速シフトへ

ソニーは、再エネ電力を拡大するための具体的な取り組みを推進する。海外を含めた製造拠点や事業所に太陽光パネルなどの設置を進めると同時に、自己託送という制度を利用して再エネ電力を各地に分散する事業へ供給する検討に入ったという。また、再エネマーケットの拡大や政府への働きかけも行う。

一方、丸紅も保有するリソースを太陽光発電などへ振り向ける。現在の発電出力に対する再エネの割合は1割程度だが、今後5年間で倍の2割することを目標として掲げる。

さらに、最大の発電容量を有する大手電力会社もここにきて再エネに本格的に注力を始めた。東京電力は、洋上風力を中心に大型投資を行い、将来再エネを発電の中心に置くことを発表した。また、関西電力や中部電力なども同様の動きを強めている。

ドイツの4大発電会社、特にRWE、E-onが再エネへの投資を長い間怠り、その結果大きな赤字を招いて経営の屋台骨が揺らいだことを日本の大手発電会社が知らないはずはない。政府によるエネルギー基本計画への「再エネ主力電源化」の明記は、ある意味で渡りに船だったのかもしれない。

再エネに雪崩を打つ企業と
FITバブルとの違い

当面、再エネ電力を使う側と発電したりコントロールしたりする側の両面で大きな動きが展開されることになる。使う側では、RE100への参加が今後もさらに増えるのは間違いない。大きな企業で参加の検討すらしないというのは、将来の企業活動を放棄するに等しい扱いを受けるようになるであろう。

再エネ電力を必要とする側が増えるということは、再エネ電力を提供することが大きなビジネスになることを意味する。発電への取り組みと再エネ電力を集めて融通することに関わる事業は、大変有望な成長ビジネスになることは間違いない。

これまで再エネの事業というと、FIT制度に乗ったメガソーラーなどへの投資がまず頭に浮かぶ。それらはバブルとかブームとか言われたが、今回の勢いはそんなものではない。なぜなら、そこに参加するプレーヤーの多くが、巨大な資本力や信用力を有する日本を代表する企業だからである。

再エネが主流であるという世界の常識にやっと日本も同調を始めた。ただし、これはもう絶対に戻ることのない流れである。この事業へ手を挙げることができるのは大企業だけではない。再エネの特徴をうまく使ったり、浮かぶニーズを先に掴んだりすれば、ベンチャーであってもアイディア勝負で新しい市場を作り出すことが可能である。もちろん、分散化が特徴の再エネを考えれば、地域のエネルギー会社はまさしく「地の利」を有する。

再エネ先進国であるドイツでは、そんな新しい競争がすでに激しさを増している。再エネへの強い欲求をどう新ビジネスに結び付けるか、そんなわくわくする時代に日本も突入している。

プロフィール

エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

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