日本PVプランナー協会、全国会員大会で「PV100年構想」へと一致団結
2018/11/30
11月16日、日本PVプランナー協会が「第6回全国会員大会」を開催。関係省庁や、太陽光発電業界の最先端を走る有力者を招き、基調講演が行われた。池田真樹理事長は「100年後の地球をよりよいものにする“PV100年構想”へ向けて尽力する」と宣言した。
省庁からも多くの来賓
「同じ方向」を目指す
11月16日、日本PVプランナー協会の「第6回全国会員大会」が東京・渋谷で開催され、全国各地から多くの会員が駆け付けた。
最初に、10月から理事長に就任した池田真樹氏(横浜環境デザイン代表取締役社長)が、開会の挨拶を行った。池田氏は「当協会は、設計力の強化・地域との調和・O&Mの推進という3つの主な活動を通して、100年後の地球をよりよいものにする“PV100年構想”へ向け、再生可能エネルギーの普及に尽力する」と力強く宣言した。
日本PVプランナー協会 池田真樹理事長
続いて、池田氏と同様に10月に就任した新しい協会役員が紹介され、7人の新役員が挨拶をした。
日本PVプランナー協会の協会役員。左から、池田真樹理事長、林浩司名誉会長、西口豪昭副理事長、山元広大副理事長、小瀧真人専務理事、大槻浩之常務理事(城所博副理事長は司会席からの挨拶)
来賓として、まず経済産業省の杉山佳弘氏が登壇。「未稼働案件の問題や、再エネ賦課金による国民負担増などさまざまな課題はあるが、第5次エネルギー基本計画で閣議決定した『再エネを主力電源にしていく』という目標は、国としての約束。その目標に向かって、皆さんとともに、再エネの普及に向けて努力する」と述べた。
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課 再生可能エネルギー推進室 杉山佳弘室長
環境省の奥山祐矢氏は、「環境省は、地域を中心とした再エネ導入を目指しており、地域分散型の電源が理想的な形の1つ。日本PVプランナー協会と環境省の目指す方向は、同じ1つの方向に向かっている。今回の会員大会を機に、より一層、地域に根ざした再エネの普及導入が進むことを期待する」と語った。
環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 奥山祐矢課長
農林水産省の鎌田知也氏は、「今年の5月に、ソーラーシェアリングの農地一時転用期間が大幅に延長され、興味を持つ人も増えている。シェアリングは、農家の所得向上、荒廃農地の発生抑制や再生に資する環境にやさしい技術。農水省は強く推進しており、そのために皆様の尽力をお願いしたい」と述べた。
農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 再生可能エネルギー室 鎌田知也室長
来賓挨拶の次に、表彰が行われた。最優秀会員賞には、G&Eかんぱにぃ代表の恩田誠氏が選ばれ、表彰状を受け取った。
最優秀会員賞 G&Eかんぱにぃ 恩田誠代表(右)
また、最優秀 安全スローガン賞には、林電機商会・梶田尚宏氏の「まず無くそう だろうまさかの 思い込み」が選出された。会場では、このスローガンが参加者によって唱和された。
最優秀 安全スローガン賞 林電機商会 梶田尚宏氏(右)
既成概念にとらわれず
業界の未来を切り拓く
3つ行われた基調講演の1つ目は、資源総合システムの代表取締役社長・一木修氏による『主力電源となる太陽光発電の今後の基軸 ~2030年、PV150GWの導入の実現に向けて~』。一木氏は「12年前の2006年から比較すると、FIT制度の採用や、再エネの主力電源化が明記されたエネルギー基本計画、現状の国内導入量など、ありえないと思われたことが現実になっている。12年後の2030年後は、既成概念にとらわれずに予測することが重要」と前置きしたうえで、2030年に累計150GWの太陽光発電を導入する「PV150」を提言した。
資源総合システム 代表取締役 一木修社長
基調講演の2つ目では、環境省の奥山氏が再び登壇。『再エネ加速化・最大促進プログラムについて』と題し、パリ協定やSDGs、RE100、企業版2℃目標(SBT)、ESG投資といった環境関連の最新キーワードに沿って、世界の現状を説明。また、4月に閣議決定された第五次環境基本計画で新たに提唱された、各地域の資源を活かして自立・分散型の社会を形成する「地域循環共生圏」の考え方について述べ、再エネ事業者が目指すべき社会像を示した。
環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 奥山祐矢課長
基調講演の3つ目は、『環境価値実証事業とデジタルグリッドの今後の展開について』。デジタルグリッド 代表取締役 阿部力也会長が、電力系統にブロックチェーン技術を活用して、個人間の電力売買などを可能にする仕組みを解説。「電話などの通信技術は、アナログの黒電話から、デジタルのスマホへと変わった。同じように、電気もデジタルへと変わる大変革のときを迎えている」と力説した。
デジタルグリッド 代表取締役 阿部力也会長
基調講演ののち、『都市近郊におけるソーラーシェアリング』と題したパネルディスカッションが行われた。モデレーターは、千葉エコ・エネルギーの代表取締役社長・馬上丈司氏。ソーラーシェアリングの第一人者である馬上氏は、さまざまな案件のコンサルタントやアドバイスなどに引っ張りだこだが、自社としても農場を構えてシェアリングを実践。自社での経験を踏まえて「ソーラーシェアリングは、農業を最優先に考える必要がある」などと語った。
千葉エコ・エネルギー 代表取締役 馬上丈司社長
また、パネリストとして、来賓挨拶も行った農水省の鎌田氏、城南信用金庫本店の顧問・吉原毅氏、そして日本PVプランナー協会理事長の池田真樹氏の3名が登壇した。
農水省の鎌田氏は、「再生可能エネルギーシェアリングモデルシステム構築事業」を踏まえてコメント。これは、FIT制度による売電を行わない場合、ソーラーシェアリングの太陽光発電や蓄電池、自営線などの設備費用の半額が補助される制度だ。この補助金制度について、鎌田氏は「基本的には自家消費を念頭に置いた制度だが、電化農業はまだ発展途上なこともあり、公共施設への売電も可能としている。そうした施設はやはり都市部に多いため、都市近郊型のソーラーシェアリングにはチャンスが多いのではないか」と話した。
農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 再生可能エネルギー室 鎌田知也室長
東京と神奈川を営業地域とする城南信用金庫は、国内金融機関として日本で初めて「RE100」に加盟。再エネ普及に積極的な信用金庫で、ソーラーシェアリングの普及にも熱心に取り組んでいる。吉原氏は「RE100は、“まともな企業”のステータスになっていくだろう。RE100には加盟できない中小企業でも、『自然エネルギー100%宣言』など、再エネ普及への取り組みをアピールする方法はある。まだ原発の電気を使っている企業、というレッテルを貼られないためにも、こうした取り組みは有効だ」と語った。
城南信用金庫 本店 吉原毅顧問
池田氏は、「弊社・横浜環境デザインも、自社の物流センター内の一部を植物工場にしたり、千葉県匝瑳市にソーラーシェアリングを2基所有するなど、営農型発電に取り組んでいる。個人的な感想になるが、ソーラーシェアリングは、完成した時の設備がとても美しい。これはきっと、正しいことをしているから、そう感じるのだろう。その一方でEPCとしては、ソーラーシェアリングは通常の野立て案件にはない高所作業などのリスクも伴う。日本PVプランナー協会として、しっかり安全性を確立していきたい」と決意を述べた。
日本PVプランナー協会 池田真樹理事長(横浜環境デザイン 代表取締役社長)